見覚えのある橋
この橋を見た記憶のある方は多いと思います。
テレビの旅番組や情報番組、そしてテレビドラマや映画によく登場する、金沢市の「梅ノ橋」です。人気の観光スポット、ひがし茶屋街の近くにあります。
見覚えのない橋
現在は生まれ故郷 金沢での生活を楽しんでいますが、大学時代から永い間、金沢を離れていました。
故郷を離れていると地元の風景がとても懐かしいものです。テレビ然り、映画然り。それが一瞬でも、です。
と書きましたが、実は、「梅ノ橋」については、ピンと来ませんでした。
昔、橋場町のこの近くに二軒の映画館があり、何度も来ていた場所ですが、当時はこの橋を知りませんでした。
確認すると、1952年と1953年の浅野川の水害により流失した橋が多く、「梅ノ橋」もその一つです。現在の橋は1978年に復元された三代目とのことでした。大学以降は金沢を長く離れていたので知らなかった訳です。
確かに、1992年の航空写真では確認できますが、1975年の航空写真には写っていませんね。
【1992年の航空写真】
【1975年の航空写真】
ロケ地です
泉鏡花所縁の橋
「梅ノ橋」は、金沢観光の定番スポットの一つ、ひがし茶屋街の近くで、金沢出身の作家、泉鏡花が名付け親と言われる女川(浅野川)に架かる橋です。
古くは泉鏡花の小説「義血侠血」の舞台となった橋です。(「義血侠血」と言うより、新派劇や映画などでの名前「瀧の白糸」と言った方が分かるかも知れません)
近くはテレビドラマ「99.9」にも登場していましたが、テレビに登場した回数は数え切れません。
映画 恋する女たち
私の見た範囲の映画に登場したものを挙げますと、1986年の「恋する女たち」。
金沢を舞台とした映画で、二十歳そこそこの斉藤由貴さんの主演ですが、同年代の共演 小林聡美さんの演技が印象に残っています。20代半ばのギバちゃんこと柳葉敏郎さんなども出演しています。遠く離れた地で懐かしい金沢の風景が嬉しかったな。
映画 吉祥天女
2007年の「吉祥天女」。鈴木杏さん、本仮屋ユイカさん、勝地涼さんたちが出演。これも金沢という設定でした。
映画のシーンで、自動車の背後にある建物は、金沢では三文豪と呼ばれている作家(泉鏡花、室生犀星、徳田秋声)の一人、徳田秋声の記念館です。2005年の開館ですから出来たばかりの頃ですね。
映画 舞妓Haaaan!!!
同じく2007年の映画「舞妓Haaaan!!!」では嫌というほど登場します。
冒頭でバナナマンの日村さんや須賀健太さんが演ずる、舞妓さんの追っかけ集団のシーンや、阿部サダヲさんが同級生を捜しまわるシーン、阿部サダヲさんと柴咲コウさんが出会うシーンなどです。もっとも、この映画では、金沢の撮影は全て京都という設定です。「梅ノ橋」は「夢ノ橋」という名前になっています。
江口寿史の正直日記
映画ではありませんが、「江口寿史の正直日記」にも梅ノ橋が登場します。
江口寿史さんが “ココロの師匠” と呼ぶ、山上たつひこさんが金沢市の東山 在住です。そのため、江口さんの金沢への訪問回数が多くなり、必然的に梅ノ橋も登場します。
梅ノ橋と見事な松
どのシーンでも、「梅ノ橋」の後ろに立派な松が見えます。如何にも金沢らしい庭木ですが、個人のお宅でした。
写真の左下に写っていますが、金沢市の「景観樹」に指定されていました。
金沢では、門被りや見越しに、松が好まれています。藩政時代からでしょうね。
冬の雪吊りや剪定など、松の手入れは手間隙がかかりますから大変だと思います。
中の橋 大門未知子
話は飛びますが、「ドクターX ~外科医・大門未知子~ スペシャル」は石川県でのロケでしたが、米倉涼子さんが勝村政信さんたちと「梅ノ橋」と似た橋で出会います。
この橋は「中の橋」で、浅野川大橋を挟んで「梅ノ橋」と対になっています。
似ていますが、「中の橋」には欄干に擬宝珠(ぎぼし)がありますので、一度覚えれば区別はし易いと思います。1955 年の架橋で、こちらが先輩ですが「梅ノ橋」ほど有名ではないようです。「梅ノ橋」は人気のひがし茶屋街の近くだからでしょうか。
「中の橋」も、主計町という茶屋街の近くです。
個人的には、ひがし茶屋街より主計町の方が好きです。
主計町は「舞妓Haaaan!!!」で何度も登場します。京都より京都らしい、というのがロケ地に選ばれた理由とのこと。
ひがし茶屋街のような観光客を対象とした土産物店はありません。お蔭で、ひがし茶屋街のように混んではいません。茶屋街本来の風情を感じることができると思います。お土産が目当ての方には不向きですが。
そう言えば、1961年の映画「ゼロの焦点」でも登場していました。
「梅ノ橋」の徳田秋声記念館に対抗している訳ではありませんが、暗がり坂を上れば、三文豪の一人、泉鏡花の記念館があります。
浅野川周辺
浅野川周辺は、ユーミンこと松任谷由実さんが好きな場所だそうです。アルバム「COBALT HOUR」には、この辺りを題材とした「花紀行」という歌があります。
また、直木賞作家の五木寛之さんは、奥様の故郷である金沢に居住経験があります。そのためか、五木寛之さんの小説にも主計町が登場します。
主計町には1978年(昭和53年)の小説「浅の川暮色」の記念碑が設置されています。碑の近くに小説に登場する店があります。
暗がり坂の近くに「あかり坂」という坂があります。この坂は名無しの坂でしたが、五木寛之さんの小説の中で命名されました。細い路地が上り口に続いていますので、こちらの坂の方が「暗い」感じがします。
「がきデカ」の作者、山上たつひこさんも近くにお住まいとのこと。2015年の小説「枕の千両」は、金沢をモデルにした地方都市が舞台ですが、本のカバーを江口寿史さんの美少女が飾っています。
イラストと、ほぼ同じ角度の写真です。この建物も主計町から近いですよ。
桜の季節の金沢も綺麗です。
時間があれば、どうぞ。