Hans Potterの日々

映画と音楽と本、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

いのちの停車場で巡る金沢

いのちの停車場

映画と小説

昨年(2021年)5月の映画「いのちの停車場」がプライムビデオ対象になっていたので早速視聴。

現役の医師でもある小説家、南杏子さんの小説を映画化したものです。

小説、映画とも金沢が舞台ということで、原作を読み、映画も観ました。

出典:東映ウエブサイト(https://www.toei.co.jp/release/movie/1225912_979.html

出典:いのちの停車場(南杏子、幻冬舎発行)

小説が2020年5月刊行。映画の公開が翌年の5月。

早い、とても早い映画化です。

メガホンは、「八日目の蝉」の成島出監督です。

新型コロナ禍ですから、撮影にも制約が多かったでしょうね。

在宅医療を通じて、種々の問題が描かれていますが、内容は原作を読んでいただくとして、「いのちの停車場」に登場する “金沢” 巡りです。

映画のロケ地、小説に登場する金沢を探します。

原作では都電荒川線の向原停留所付近で、映画では首都高のトンネルで、大規模な事故が発生。

映画のシーン

主人公 白石咲和子が副センター長を務める城北医科大学病院の救急救命センターへ患者が運び込まれます。そして…。

救急救命センターへ運び込まれた患者、そして治療の様子。現役の医師の執筆です。

詳しくは小説をどうぞ。

城北医科大学病院を辞した白石咲和子は故郷の金沢へ戻ります。

ここからが金沢巡りです。

尚、映画と小説の両方について金沢巡りをしますので何回かに分かれると思います。

そして金沢へ

主演の吉永小百合さんは、1972年の映画「男はつらいよ 柴又慕情」でも金沢でロケをしています。

hanspotter.hatenablog.com

金沢駅

北陸新幹線金沢駅に降り立った吉永小百合さん演ずる白石咲和子。

映画のシーン

吉永小百合さんが歩いているのは金沢駅東口、もてなしドームの下です。鼓門が目の前です。

もてなしドームと鼓門

いつもとは違う、横からと上から見た写真もどうぞ。

もてなしドーム

金沢駅は映画、テレビによく登場します。ご存知の方も多いのではないでしょうか。

金沢駅に関した過去のブログです。ご参考まで。

hanspotter.hatenablog.com

実家へ

原作ではタクシーで実家(金沢市の南部、犀川にかかる桜橋近く)へ向かいます。

映画ではバスに乗り実家近くのバス停へ。田中泯さん演ずる父が迎えに来ています。

映画のシーン

バス停(停車場)

映画では、題名を象徴するかのようによく登場します。

結論から言いますと、金沢ロケではありません。栃木市で撮影されたようです。

映画のシーン

見ていると「ん?金沢?」と感じます。

まずバスが全く違います。

それと俯瞰撮影時の瓦。

釉薬を使った黒く艶々とした屋根瓦がありません。瓦が金沢の町並みと違います。

原作では、終盤近く、寺町通りに路面電車が走っていた頃の木で作られた停車場の思い出が出てきます。

このバス停は原作のイメージでしょうね。

田中泯さん

田中泯さんが父親役

映画のシーン

吉永小百合さん演ずる白石咲和子が62歳、田中泯さんが演ずる父親が87歳という設定です。

Wikipediaに拠れば、吉永小百合さんの生年月日は1945年(昭和20年)3月13日。

田中泯さんは1945年(昭和20年)3月10日生まれですから同い年ですね。

3日早く生まれた田中泯さんが、実年齢より10歳上の父親役、吉永小百合さんが実年齢よ15歳下の娘を演じています。

田中泯さんの記憶

話が飛びます。

田中泯さんは過去に観た映画で個人的に、とても印象に残っている方です。

たそがれ清兵衛

映画で田中泯さんを拝見したのは、2002年の「たそがれ清兵衛」が最初だったと。

藤沢周平さんの原作を山田洋次監督が映画化したものです。

田中泯さんは主人公の真田広之さんに討たれる剣の達人、余吾善右衛門役でした。

映画のシーン


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地下鉄(メトロ)に乗って

次が、2006年の「地下鉄(メトロ)に乗って」。

浅田次郎さんの原作の映画化です。見慣れた地下鉄の駅が幾つも登場します。

そんな地下鉄の駅で、主人公、堤真一さんと出会う先生の役でした。

映画のシーン


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メゾン・ド・ヒミコ

地下鉄(メトロ)に乗って」と相前後して観たのが、2006年の「メゾン・ド・ヒミコ」。

2022年の今から16年前にLGBTを扱った映画です。メゾン・ド・ヒミコはゲイのための老人ホームで、その老人ホームを作った卑弥呼(現在は末期癌)の役でした。

映画のシーン


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金沢巡りの続き

話を戻します。

白石咲和子の実家

原作では、桜橋から犀川と畔にある実家を見下ろしています。また、小説の終盤に、桜橋の手前の高台から犀川の向こうにある自宅を眺める、とあります。

イメージとすれば、下の地図で桜橋(地図の④)横の赤い点線で囲んだ辺りかと。

犀川(桜橋近辺)出典:「今昔マップ on the web」

映画では石伐坂(W坂)を上った家(地図の①)という設定です。

映画のシーン(W坂)

桜橋との標高差は20m弱。寺町台という台地に位置します。

杖が必要な87歳の老人や、大きな旅行鞄を持って上がるのは辛い坂です。

映画のシーン(W坂上の家)

桜橋から上ると正に坂の上。

近くにあるパン屋さんの名前も「坂の上ベーカリー」です。

坂の上ベーカリー

坂の上のこの家は昔は美容室じゃなかったかな、確か。

W坂と坂の上の家(実写)

撮影場所に関する推測

映画では、この家の居間から見下ろした犀川に橋がかかっています。

左側に見えるのは桜橋、右側は下菊橋と上菊橋でしょう。

映画のシーン(家から見える橋)

ただ、この家(地図の①)からだと桜橋(地図の④)は真下になります。

桜橋(地図の④)、下菊橋(地図の⑤)、上菊橋(地図⑥)の遠景に関しては、地図の懐石料理店 仁志川(地図の②)か由屋るる犀々(地図の③)辺りから見える景色でしょうね。

エンドロールの撮影協力にも名前が載っていますし。

もう一度地図を載せます。

犀川(桜橋近辺)出典:「今昔マップ on the web」

桜橋

実家近くの桜橋。 

名前のとおり、春には桜の花に囲まれます。

春の桜橋

W坂

映画で二人が上った石伐坂(W坂)。

冬の桜坂

正式名称は石伐坂ですが旧四高(第四高等学校)の学生が名付けたW坂が一般的です。

坂が「W」を横にしたように折り返しているから命名されたとのこと。

坂の途中に旧四高出身の小説家、井上靖さんの文学碑があります。

井上靖さんの文学碑

ここも、桜の時期は綺麗ですよ。

春のW坂

W坂から見た桜橋

田中泯さんと撮影場所で字数が増えました。

次回から、在宅医療を行う「まほろば診療所」が登場し、本筋へと続く予定…です。