Hans Potterの日々

映画と音楽と本、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

映画で巡る金沢 吉祥天女

映画 吉祥天女

2007年の映画「吉祥天女」。鈴木杏本仮屋ユイカ勝地涼が出演した映画です。

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出典:映画.com

吉祥天女 : 作品情報 - 映画.com

妖艶な美貌と雰囲気を併せ持つ主人公の少女 “叶 小夜子” を鈴木杏が演じています…。
私は、主人公の同級生 麻井由似子の姉、麻井鷹子役の市川実日子が印象に残っています。(原作では麻井由似子の兄、麻井鷹志ですが、映画では姉の設定です)
原作も知らず、単に金沢ロケだということで見た映画ですので、映画自体の内容等は置いといて、ロケ地を探して金沢の観光地を巡ります。
2007年の映画ですから、人気の金沢21世紀美術館金沢駅は完成していますが登場しません。設定が昭和45年春の金沢です。

ひがし茶屋街辺り

天神橋

「昭和45年 春 金沢」とスクリーンに出た後の橋は、浅野川に架かる天神橋(下記の地図①)です。映画の中の麻井由似子の自宅と近いといえば近い設定です。

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映画のシーン

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実際の天神橋。左方向が卯辰山

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ロケ地などの位置関係(「今昔マップ on the web」より作成)

http://ktgis.net/kjmapw/index.html

長谷山 観音院

麻井由似子が歩いている坂道、眺めている天衣神社があるという設定の石段は、卯辰山山麓寺院群の長谷山 観音院(地図②)へ続く石段です。

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映画のシーン(坂道)

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実際の坂道

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映画のシーン(石段)

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実際の石段

歩いてなら石段、車なら麻井由似子が下りてきた坂道。どちらを使っても観音院へ続いています。

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長谷山 観音院

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長谷山 観音院(写真の左側にとうもろこし)

観音院は、金沢市民には「四万六千日」の とうもろこしが知られている由緒あるお寺です。

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長谷山 観音院 facebookより https://ja-jp.facebook.com/hasezankannon/

金沢に三か所ある寺院群(小立野寺院群、卯辰山寺院群、寺町寺院群)の卯辰山山麓寺院群に属します。

名前のとおり、卯辰山という山の山麓(丘陵地)に位置します。少し疲れるかも知れませんが、頑張ってください。

www.kanazawa-kankoukyoukai.or.jp

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現地に掲示してある案内図

ひがし茶屋街

これらのロケ地は、観光客に人気のひがし茶屋街(地図③)のすぐ近くです。

映画の中で、ひがし茶屋街の「きむら」を後ろにして、主人公が歩いているシーンが登場します。

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映画のシーン

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実際の店舗

「きむら」は、室生犀星の原作を2016年に映画化した「蜜のあわれ」でも使われていました。 

hanspotter.hatenablog.com

梅ノ橋

映画の最後に出てくる橋。梅ノ橋(地図④)です。

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映画のシーン

別途、ブログにも書いたほど、色んな映画やテレビに登場します。

ひがし茶屋街近くの観光スポットです。

hanspotter.hatenablog.com

大名クラスの家老 本多家の跡地 

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ロケ地などの位置関係(「今昔マップ on the web」より作成)

石川県立工業高校

主人公が転校してくる高校は、石川県立工業高校(地図⑤)です。明治20年(1887年)創立の歴史のある工業高校です。

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映画のシーン

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実際の高校

1986年の斉藤由貴主演の映画「恋する女たち」にも登場します。 

hanspotter.hatenablog.com

 本多家下屋敷

 ここから少し、映画のロケ地の話題から外れます。

石川県立工業高校は、人気の観光スポット、鈴木大拙館(地図⑥)と同じ本多町(2丁目と3丁目)にあり、直線距離で150mほどです。

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鈴木大拙

鈴木大拙誕生地記念碑(地図⑦)も高校の近くにあります。興味のある方はどうぞ。

 

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鈴木大拙誕生地記念碑

ここ、金沢市本多町は、加賀八家の筆頭家老、本多家の下屋敷があった場所です。
全国の大名の3分の2が五万石以下だった江戸時代に、加賀藩には、加賀八家と呼ばれる禄高1万石以上の家老が8人いました。

筆頭家老の本多家は5万石。忠臣蔵で有名な浅野家の石高も5万石です。

完全に大名クラスの家老です。

本多家上屋敷

下屋敷があるのなら、当然上屋敷もあります。

上屋敷は、地図上は下屋敷のすぐ近くですが、小立野台地という高台にありました。

跡地には石川県立美術館(地図⑧)や赤レンガミュージアム(地図⑨)があり、現在、国立近代美術館の工芸館の金沢移転工事が進められています。

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石川県立美術館と赤レンガミュージアム(石川県立歴史博物館、加賀本多博物館)

完成すれば、兼六園金沢城を中心に、石川県立美術館(地図⑧)、金沢21世紀美術館(地図⑩)、国立工芸館(地図⑪)、更には金沢らしい石川県立能楽堂(地図⑫)など、この辺りは芸術文化の一大集積地になります。

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ロケ地などの位置関係を再々掲(「今昔マップ on the web」より作成)

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国立工芸館移転工事と石川県立能楽堂

金沢21世紀美術館付近

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金沢21世紀美術館

映画の設定が昭和45年なので、金沢21世紀美術館は登場しませんが、この近くの四高記念文化交流館(地図⑭)や武家屋敷街(地図⑮)が登場します。

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映画のシーンと実際の四高記念文化交流館

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映画のシーンと実際の武家屋敷の用水

それ以上に特徴的なのは、映画で印象的に使われている能楽です。

能楽(謡)

転校してきた主人公が、能楽クラブへ勧誘されます。金沢の文化を知っている演出ですね。

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映画のシーン

金沢は、北島三郎の「加賀の女」でも

謡曲がふるふる加賀宝生の…

(出典:北島三郎:加賀の女。作詞:星野哲郎

と歌われるほど能楽が一般的です。“空から謡が降ってくる”(植木職人も謡を嗜んでいる=広く謡が浸透しているの意味)と言われています。

私の父も謡を嗜んでいました。かつては結婚式では必ずと言っていいほど ♫高砂や~この浦船に帆を上げて~(^^♪ と「高砂」の待謡が謡われていました。最近では聞くことも少なくなっていますね。

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謡本

能楽ユネスコ無形文化遺産に登録され、「加賀宝生」は金沢の無形文化財に指定されています。

小学生の頃には狂言の鑑賞がありました。“附子” だったかな。太郎冠者、次郎冠者の世界です。私が鑑賞した当時、能楽堂は現在の知事公舎の向かい辺りにあったと記憶しています。

金沢能楽美術館

金沢21世紀美術館(地図⑩)に隣接する金沢能楽美術館(地図⑬)は、いかにも金沢と言うべき、全国でも珍しい能楽の美術館です。

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金沢能楽美術館

石川県立能楽堂

金沢能楽美術館(地図⑬)で得た知識をもとに石川県立能楽堂(地図⑫)も訪ねたら如何でしょうか。

兼六園横の坂を上ると見えてきます。催しで使用中でなければ、親切に案内・説明してもらえます。金沢文化の土産話にどうぞ。

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石川県立能楽堂

尚、映画に登場する能舞台は、深谷温泉 元湯石屋です。能舞台のある温泉旅館です。

深谷温泉は、その昔、宮本武蔵が傷の治療に利用したとの言い伝えがあるそうです。

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映画のシーン
noh-ishiya.com

加賀市橋立

主人公の住んでいる叶家の庭園などは金沢市寺町の辻家庭園ですが、映画に出てくる叶家前の道路が…。辻家庭園前の道路の舗装と、映画の叶家前の道路(石畳)が違います。

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辻家の門扉と前の道路

辻家庭園へは桜の時期にも来ましたので記憶が鮮明です。

hanspotter.hatenablog.com

叶家前のシーンは金沢ではありませんね。石川県加賀市橋立です。

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叶家前の映画のシーンと実際の場所

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映画のシーンと実際の門扉

ここも2016年の映画「蜜のあわれ」に登場します。

金沢から直線距離で40kmかな。興味のある方はどうぞ。

叶家へ向かう道

主人公の住んでいる叶家に向かう坂道。ひがし茶屋街の近くだと思って探しましたが見つかりません。ひがし茶屋街から1㎞ほど離れた常盤橋近くのここですね(地図⑯)。

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映画のシーン

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実際の写真

常盤橋を渡って、旧 ごり屋の横を走っています。

旧 ごり屋は、店舗正面は今でも風情がありますが、道路に面した窓のガラスが割れていました。

場所としては少し不便だったのでしょうか。

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旧 ごり屋

興味のある方はどうぞ。