Hans Potterの日々

映画と音楽、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

室生犀星「蜜のあわれ」

三文豪

金沢では、金沢出身の3人の作家(泉鏡花室生犀星徳田秋聲)を三文豪と呼んでいます。兼六園近くの白鳥路には三文豪像もあります。

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三文豪の像(左から、室生犀星泉鏡花徳田秋聲

映画に登場したことのある金沢出身の作家

最近では、文ストや文アルなどのアニメやゲームにも登場していますが、泉鏡花室生犀星は映画に登場したことがあります。

泉鏡花

全くの私見ですが、泉鏡花は1988年の映画「帝都物語」で鏡花を演じた坂東玉三郎さん(当時38歳)が一番イメージにピッタリです。街角で占いをしていました。芸者衆に追いかけられていました。鏡花のイメージです。女形坂東玉三郎さんが演じた泉鏡花。文ストでは鏡花は女性となっていますが、それを先取りしているような…。

室生犀星

室生犀星は、2016年の映画「蜜のあわれ」で犀星を演じた大杉漣さん(急逝されました。好きな役者さんだったので残念です)がイメージとしてはピッタリです。
アウトレイジ最終章」などでのヤクザ役が似合う一方で、優しいお父さん役を演じた大杉漣さん。室生犀星役は適役だと思います。

蜜のあわれ

小説「蜜のあはれ」

2016年に公開された映画「蜜のあわれ」は、室生犀星の「蜜のあはれ」が原作です。
二階堂ふみさんが演ずる金魚と大杉漣さん演ずる老作家(室生犀星)の幻想的な話で、原作「蜜のあはれ」は最初から終わりまで「」が連続します。ずっと会話だけの小説です。

映画「蜜のあわれ

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蜜のあわれ(出典:映画.com ウエブサイト)

蜜のあわれ : 作品情報 - 映画.com

原作の設定が設定だけに、アニメ化ならまだしも実写化は難しいと言われていた小説の映画化です。

エロ可愛いとの評判でしたが、感想については、実際にDVDを買うなり借りるなりしてご覧になってください。

参考までに予告編です。


映画『蜜のあわれ』予告編

蜜のあわれ のロケ地

晩年の犀星は東京に住んでいましたが、金沢出身の作家だけに映画のロケは石川県でも行われたようで、見たことのある風景が所々に出てきました。
私が行ったことのある場所、知っている場所を映画のシーンと並べてみます。

加賀市橋立町のロケ地

映画の初っ端で二階堂ふみさんが外出する際の門。

門を出て右の方へ歩いて行きます。恐らく、石川県加賀市橋立町の北前船主集落にある増田又右衛門家跡ではないでしょうか。

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門を出ていくシーン

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実際の門

映画の最後の方で二階堂ふみさんが真木よう子さんを追うシーンでも、この屋敷跡へ続く石段を下りてきますので間違いはないと思います。

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真木よう子さんを追いかけるシーン

門の横に管理地との看板があります。中を見学することはできませんでしたが、二階堂ふみさんと大杉漣さんの二人が住んでいる家という設定でしょう。

二階堂さんの後を真木よう子さんが尾けるシーンで、北前船主屋敷 蔵六園前を通り、郷社の社号標がはっきり写っている出水神社へ行きます。神社で永瀬正敏さん演ずる金魚屋さんと二階堂ふみさん、そして真木よう子さんとの絡みを撮影していますね。

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映画のシーン

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北前船主屋敷 蔵六園前の道

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映画のシーン

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実際の出水神社

石川県加賀市橋立町の北前船主集落は、北前船交易で富を得た船主たちのとても立派な家々が軒を連ねています。見学可能な屋敷跡もあり、屋敷の中の展示品には、なんでも鑑定団で鑑定すればと思うような品が数多くあります。

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北前船の里資料館 と北前船主屋敷蔵六園

近くには映画「恋する女たち」のラストシーンで使われた加佐ノ岬もあります。

hanspotter.hatenablog.com

 この岬は金沢生まれの私も知りませんでした。

橋立町には真宗大谷派福井別院橋立支院があります。福井の方が近いためだと思います。そのため加佐ノ岬を知らなかったのかも知れません。綺麗な岬ですからどうぞ。

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加佐ノ岬

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真宗大谷派 ”福井” 別院橋立支院

加賀市 山中温泉大聖寺のロケ地

大杉漣さんが「私と文学」と題して講演しているのが、山中温泉にある山中座です。

催し物をやっていなければ入るのは無料のはずです。すぐ近くに総湯があります。

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映画のシーン

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実際の山中座(出典:山中温泉観光協会ウエブサイト)

山中節と温泉の館 山中座 | 山中温泉観光協会

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写真は山中座近くの山中温泉総湯 菊の湯です

加賀市ではこのほかにもロケをしています。

真木よう子さんが消えるシーンのロケ地は加賀市大聖寺川 八間道らしいのですが、私は行ったことがありません。犀星の愛人役の韓英恵さんに、永瀬正敏さん演ずる金魚屋さんが金魚を売るシーンも大聖寺がロケ地のようです。

富山県  富山市高岡市のロケ地

大杉漣さん演ずる犀星の講演が終わり、二階堂ふみさんと大杉漣さんがバーに行きますが、カウンターの大きなランプに記憶があります。

富山市の佛蘭西屋 洋酒肆ですね。地元の方に連れられて行ったことがあります。

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映画のバーのシーン

酔っぱらって「Vodka Martini, Shaken, Not Stirred(ウォッカマティーニをシェイクで)」などと「007」の真似をしました。あぁー恥ずかしい。

二階堂ふみさんと真木よう子さんが、花を買って愛人宅へ向かう大杉漣さんを尾ける映画館のシーンは、富山市のシネマ食堂街辺りですね。通路横の看板に「お好み焼き・鉄板焼 こられんか」「らーめん 海賊」「おでん 勝」などの字が見えます。正面の映画館に「○山シネ○」と写っていますから間違いないと思います。

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映画のシーン

この飲食街も地元の方と行きました。富山駅近くのディープな場所でしたが、再開発でもう無くなったとのこと。

大杉漣さんが花を買うシーンは高岡市金屋町の公園(金屋町ポケットパーク)だそうです。これは富山出身の人に教えてもらいました。

ここは、韓国映画のリメイク版「8月のクリスマス」でもロケ地となっていました。

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映画のシーン(高岡市金屋町の金屋町ポケットパークだそうです)

hanspotter.hatenablog.com

金沢市のロケ地

真木よう子さん演ずる幽霊をバーを出て追いかけるシーンは、金沢のひがし茶屋街です。バーの階段を駆け上がって、レストラン「自由軒」の建物から出てきます。走っている後方に「自由軒」の建物が見えます。

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映画のシーン

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ほぼ同じ角度の写真

「鮨 みつ川」を背にして走り、さらに駄菓子屋さんの「きむら」を後ろにして細い路地を走ります。

設定は戦後間もなくの話なのに「きむら」の看板には大きくCoca-Colaの文字が…。

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映画のシーン

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ひがし茶屋街 きむら

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改修工事中の きむら

「きむら」は2007年の映画「吉祥天女」にも登場しました。

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芥川龍之介

高良健吾さん演ずる ”アクタガワ” が連れの女性と歩いているのは、金沢市の野田山にある加賀藩 前田家の墓所です。

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前田家墓所(写真提供:金沢市

実際、大正13年1924年)5月に芥川龍之介は金沢を訪れています。

芥川龍之介は、大正12年(1923年)9月に発生した関東大震災に遭い、友人である室生犀星を頼ります。

犀星は芥川龍之介を金沢へ招き、兼六園内の三芳庵別荘を芥川の宿にしたとのこと。

現在では勿論不可能ですが、当時としても兼六園内に宿泊することは難しく、犀星たちが四方八方に手を尽くしたようです。

金沢の一流料亭 つば甚で芸者を呼んで芥川を接待するなど、かなり芥川に対して気を使ったようです。

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料亭 つば甚

映画のラストには原作に付け加えたシーンがあります。内容、台詞などを小説と比べるのも楽しいですね。DVDでご確認ください。

室生犀星 所縁の地

私生児として生まれ、実の両親の顔を見ることもなく、生まれてすぐに養子に出された犀星が暮らした雨宝院が金沢にあります。

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雨宝院

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犀星が

“うつくしき川は流れたり そのほとりに我は住みぬ”

(「抒情小曲集」犀川より)

と詠んで愛した犀川が横を流れます。すぐ近くには室生犀星記念館もあります。
別の機会に書きたいと思いますが、犀星に興味のある方は一度どうぞ。

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室生犀星記念館