Part 3です
大森一樹監督の1986年の映画「恋する女たち」Part 3です。
Part 1とPart 2は下記リンクでどうぞ。
“映画で巡る金沢” という表題ですが、今回は金沢以外も登場します。
北陸鉄道石川線
実家の旅館へ帰ることになった斉藤由貴さんが、地元の私鉄 北陸鉄道石川線で加賀一の宮駅へ向かいます。
ホームの子供たち
途中駅のホームに子供たちが写っています。テスト撮影で映り込んだシーンをそのまま使用したとのこと。33年前の映画ですから、今ではこの子たちも40歳以上ですね。
鶴来町という山あいにある駅へ向かっているのに、進行方向の後方に山が写っているのは、このシーンを活かすためでしょう。
子供たちがいる駅は乙丸駅でした。ホーム後方のクリーニング店の看板から見つけました。
斉藤由貴さんが乗った電車
同じ型の電車の写真が、“懐想「石川の鉄道」” というブログにありました。行先の表示も同じ「白山下」、先頭車両前面の右上の数字(車体の連番ですかね)も、映画は3772、写真は3773です。
この “懐想「石川の鉄道」” というブログ、とても詳しく書いてあります。廃線になった路線など、懐かしく読ませて頂きました。
斉藤由貴さんが乗っている電車ですが、1978年の映画「野性の証明」にも似たような電車が登場しています。
加賀一の宮駅
加賀一の宮駅は長い間工事中でしたが、現在は公園の一部として改修・保存されています。1927年(昭和2年)開業の趣のある駅舎です。




加賀一の宮駅から白山下まで北陸鉄道金名線が走っていましたが、1987年に廃線となりました。鶴来駅と加賀一の宮駅間も2009年に廃止されました。
因みに廃線となった金名線。“金” は金沢ですが、“名” は…。想像できませんでしたが、名古屋だそうです。金沢と名古屋を結ぼうという壮大な構想があったようです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/北陸鉄道金名線#歴史
白山比咩神社
白山比咩神社は1300年以上前に創建された加賀国一ノ宮です。
加賀一の宮駅は、白山比咩神社の表参道 一の鳥居まで200mほどの距離で、参拝客はこの駅を利用していました。
駅近くには表参道と北参道を示す道路標識があります。町名が「白山町(神主町)」です。
一の鳥居から坂道を300mほど上ると拝殿へ到着です。最近では車で行ける北参道から参拝する方も増えていますが、深い木々に囲まれ、清水の流れている表参道を歩くと心が洗われる気がします。参拝は是非表参道経由で。






駅から実家へ
加賀一の宮駅前で友人と会い、その後渡っている橋。この橋も長い間工事中でした。
実家の旅館まつさきの最寄り駅が加賀一の宮駅との設定です。加賀一の宮駅のある白山市の鶴来町と、旅館まつさきのある能美市辰口町は直線距離で8㎞ほど離れています。ドラマなどでもよく見る設定ですね。まつさきは以前法事で利用したことがありますが、今回はドライブレコーダーの映像と、まつさきのHPでご容赦を。
香林坊109
実家から友人たちのバイクで金沢へ向かいます。友人の神崎基志と待ち合わせしている場所は、「香林坊109」前です。現在では「香林坊東急スクエア」という名称ですが、当時は「109」の地方出店第一号店でした。






菅原薫(菅原加織)さん
香林坊109前
「香林坊109」前で待ち合わせしている友人 神崎基志を演じているのは菅原薫(菅原加織)さんです。菅原文太さんの長男で、「恋する女たち」が映画デビュー作です。2001年(平成13年)に31歳で亡くなられました。
父親の菅原文太さんを知らない世代も増えています。「千と千尋の神隠し」の釜爺、「ゲド戦記」のハイタカ(ゲド)、「おおかみこどもの雨と雪 」の韮崎のじぃちゃんの声優と言ったほうが分かりやすいかも知れませんが、少し寂しい。


菅原薫さんとは野球場へ行ったり、自宅へ行ったりと、映画の中では何度か絡みのシーンがあります。
石川県立野球場






自宅のシーン
自宅の部屋に全日空スキーツアーのポスターが。スヌーピーをキャラクターにしたのが1983年だそうですから、この映画公開の少し前ですね。
全日空のツアーかどうかは不確かですが、飛行機でニセコアンヌプリへスキーに行きました。パウダースノー!
石川県立美術館
喫茶店
美術館内の喫茶店は、今ではパティシエ 辻口博啓さんの「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」になっています。
映画では斉藤由貴さんの後方に木々が写っています。この木々のある外から撮った写真です。
右側の大きなガラスの部分が「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」です。辻口博啓さんのスイーツ、美味しいですよ。
美術館前のバス停
美術館前のバス停です。
石川県立歴史博物館(赤レンガミュージアム)の前でバスを待っていますが、バスに乗り込んだのは兼六園横の通り、成巽閣の近くです。
まぁ、近いと言えば近い場所ですが。
石川県体育館 玉泉院丸庭園
卒業謝恩ダンスパーティーの垂れ幕が懸かっているのは石川県体育館です。
この体育館は昭和40年(1965年)に竣工し、平成20年(2008年)に取り壊されるまで、40年以上にわたり各種スポーツに利用されていました。
平成27年(2015年)、跡地に玉泉院丸庭園が復元されました。玉泉院丸庭園は、藩政時代にあった藩主の内庭ですが、明治期に廃絶されました(映画のシーンでは体育館の右側に石垣が写っています。藩政時代の名残ですね)。
明治から昭和初期にかけて、金沢城址は陸軍省が所有していました。この時期に藩政時代の施設等がかなり無くなっています。
千里浜


千里浜なぎさドライブウェイは、自動車どころかバイクでも走行可能な珍しい砂浜です。年々浸食で砂浜が狭くなってきているため、色々対策を施しているようです。


石川門と百閒堀園地(旧沈床園)
ダンパを抜け出した斉藤由貴さんが歩いているのは金沢城の石川門です。金沢城内には、戦後まもなくから1995年(平成7年)まで金沢大学がありました。




石川橋から百閒堀園地(旧沈床園)での、柳葉敏郎さんと恋人の痴話喧嘩を見つめています。
この公園や道路は、金沢城の堀を埋め立てたものです。昔はチンチン電車も走っていました。
1961年の映画「ゼロの焦点」には、この場所を含め、当時の金沢の懐かしい風景が登場します。
加佐ノ岬
長くなったので端折ります。
最後の断崖での茶会。北前船で栄えた加賀市橋立の近くにある加佐ノ岬です。
金沢はお茶が盛んですので、加賀友禅を着ての野点や緋毛氈に違和感はありません。 “断崖” という設定を除いては…。
近くの加賀市橋立は、映画「蜜のあわれ」や「吉祥天女」でもロケ地でした。
最後に
エンドロールにサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」とツルゲーネフの「はつ恋」。映画で登場した本です。
私の高校時代、所謂、文学少女や文学少年以外も文学に親しんでいた記憶があります。
無骨な私の本棚でさえ、色褪せた立原道造、中原中也、萩原朔太郎、種田山頭火などの本が並んでいます。ハイネの詩集まで…。
本離れ、活字離れが進んでいると聞きますが、最近の高校生はどうなんでしょうかね。