金沢の土用の丑の日事情
意外と少ない専門店 in 金沢
故郷 金沢に戻って、暫らく暮らしたころ気付いたことがあります。
金沢には、すき焼と鰻の専門店(店内で食べるお店)が少ないですね。


それに、トンカツと天麩羅の専門店も少ないと思います。


金沢に帰る直前に住んでいたのが浅草でしたから、特に感じるのかも知れませんが。
鰻の蒲焼 in 金沢
金沢で鰻の蒲焼と言うと近江町市場で購入するのが一般的です。専門店で食べる方は少ないようで「金沢には鰻屋さんが少ないからかな……」が素直な思いでした。
泥鰌(どじょう)の蒲焼
金沢には泥鰌(どじょう)の蒲焼があります。
泥鰌(どじょう)の蒲焼もたまに食べると美味しいのですが、個人的な好みではやはり鰻の蒲焼ですね。
因みに、金沢の泥鰌の蒲焼は、江戸幕府の弾圧により長崎から金沢に送られてきた隠れ切支丹が始まりとの説もあるようです。
近江町市場
土用の丑の日
土用の丑の日です。
連れが、おみちょ(近江町市場のことです。金沢ネイティブの呼び方です)へ鰻の蒲焼を買いに行こうと言います。
北陸新幹線金沢開業以降の、近江町市場の変貌ぶりを目にしていた私は気乗りはしませんでしたが、ついでに他の目的を済まそうと思いOKしました。
平賀源内の功罪
近江町市場に着いてビックリ。まるで酒呑童子のように顔を真っ赤にした、とても暑そうな外国人観光客を含め、観光客らしき人が多いのは間違いありません。が、蒲焼を販売している店には地元客の長蛇の列です。いつもは海鮮丼の店に観光客の行列なのに、流石に土用の丑の日です。
250年経っても効果のある平賀源内のキャッチコピーに感心します。
ただ、鰻が美味しいのは脂が乗った秋から冬だとのこと。源内先生も罪なキャッチコピーを作ったものです。
いつもと違う近江町市場
蒲焼の人気店では、列の最後に「ここが列の最後尾です。〇〇(人気店の名前)」とのプラカードまで出ています。まるで福袋や人気ゲームソフトの販売日のようです。
プラカードを持っている人は「30分待ちです」と汗だくになって叫んでいます。
ニュースを見ると、人気店では通常の三倍以上の鰻を深夜から仕込み始めたそうですが、早々に売り切れたとのこと。凄い人気です。
連れと一緒に市場をウロウロしましたが、いつもは観光客に占領されている近江町市場が、今日だけは地元の人の “台所” に戻っていました。
高騰している鰻ですから試食はなし。外国の観光客は行列の意味が分からず、何事だろうと思いながらシャッターを切っているようです……多分。
鰻の売買では、客と売り手の会話、対面販売を久しぶりに見ました。氷柱が何本も置かれ涼を呼んでいますが、熱気で溶けそうでした。
金沢の人は、おみちょ(近江町市場)を見捨ててはいなかったと、嬉しくなった一日でした。
尚、写真と文書の内容とは関係ありません。また、今年の写真だけではありません。念のため。
鰻屋さん
金沢の鰻屋さん
金沢で鰻屋さんを見つけたのは、金沢へ戻って来てから可成り経ってからでした。
デパートで買い物を済ませ、連れと近くのフルーツパーラーへ向かっていた時に目に入りました。急遽、鰻屋さんへ予定変更。美味しかったです。金沢で鰻専門店を見つけてホッとした日でした。近江町市場のすぐ近くです。
大阪での鰻の思い出
大阪に居たころ、「まむし食べへん?」だったか「まむし食わへん?」だったか、昼食に誘われました。大阪には3年ほど居たのですが、どっちの言葉だったか、将又、別の言葉だったか忘れました。
語源は「マムシ」とは違うとのことですが、背開きと腹開き、蒸すか蒸さないかの違いしか知らなかった私の頭にはマムシ酒のイメージだけでした。
それはさておき、美味しく頂きました。無知な私は、養鰻という言葉と読み方を初めて知ったのも大阪でした。
東京の鰻屋さん
昔、浅草の鰻屋さんで店主のボヤキを聞いたことがあります。
注文後15分、20分で「まだですか」と急かす野暮な客が増えたというボヤキです。
個人的には、鰻屋さんは時間がかかって当たり前だと思っていました。
鰻屋さん。
私のブログに何度か登場する、柴又在住の先輩に連れられて、神田の久保田や神田川本店、時には柴又の川千家や、「男はつらいよ」第1作で さくらと博の結婚式場として登場した川甚などへ遠征したこともあります。
余談ですが、さくらと博の結婚式。名シーンだと思います。志村喬さんの………。
是非一度。
浅草に住んでいたので、結果として、近間に数多く存在する鰻屋さんへ行くことが多かったですね。
前川、色川など、いろんな鰻屋さんへ食べに行きました。
小柳
その中で記憶に残っているのが小柳です。
ここで送別会を開いてもらいました。個人的にも何度か通っていた店です。昔気質の鰻屋さんらしく、注文してから出てくるまでの時間が長かったな…。
映画と朝ドラ
1988年公開の大林宣彦監督の映画「異人たちとの夏」で、小柳が使われていました。
主人公(風間杜夫さん)が、向いに座った老人を眺めるシーンが印象に残っています。
この映画には、私が初めて住んだころの昔の浅草が登場します。
映画の主人公と同様、私も浅草が好きですね。
NHKの朝ドラ(2003年「こころ」)にも、名前は違えていますが店が登場します。
今では当時の建物の面影はなくなりましたが、蒲焼、土用の丑の日という単語で思い出します。
今回は以上です。