JR松任駅
松任駅に来ると「圓八のあんころ」と「工機部」という単語が頭の中に甦ります。
工機部
現在のJR西日本 金沢総合車両所松任本所は、第二次世界大戦中や戦後の一時期、「松任工機部」という名称でした。
この名称は一時期しか使われていなかったそうですが、松任の年配の方と話すとよく出てくる単語です。一時期であっても松任では浸透していた名称のようです。
上の航空写真では北陸本線が右上から左下へ斜めに横切っています。写真中央付近の松任駅の上(北東方向)に引き込み線が見え、工機部が広がっています。松任駅の下(南側)を横切る広い道路(白い部分)は、現在の県道291号線(旧の国道8号線)でしょうね。
圓八のあんころ
昔、圓八のあんころを松任駅で買った記憶があります。
あんころ餅が正式名称らしいのですが、あんころと呼ぶのが普通でした。
あんころ
my favorite things
圓八のあんころは、私にとっては大好きを通り越したmy favorite thingsです。
蛇足ですが、音楽のMy Favorite Things。
若い頃はJohn ColtranのMy Favorite Thingsを聞いて「いさって」いました(注:「いさる」とは金沢弁で、ドヤ顔で偉ぶった態度をとることです)が、齢を重ねた今ではJulie AndrewsのMy Favorite Thingsに回帰しています。
あんころ
小さい頃、松任の親戚のお土産は必ずと言っていいほど圓八のあんころでした。
紐を解き、天狗の羽団扇を描いたしおりを取り、竹の皮を一枚めくると爪楊枝が刺してあります。
しつこさを感じない丁度良い甘さの餡とその中に潜む柔らかな餅。夢中になって食べたものです。
爪楊枝はあんころを食べるのに使用するだけでなく、食べ終わった後、竹の皮に残った餡を刮げるのにも使っていました。こうして集めた餡がまた特別美味しかった!松任の親戚の訪問を心待ちにしていました。
映画「ママ、ごはんまだ?」にも登場
2017年に公開された「ママ、ごはんまだ?」という映画があります。一青窈さんの姉、一青妙さんのエッセイを映画化したもので、二人のお母さんの出身地 石川県も舞台になっています。
映画の中で、就職活動中のお母さんが、訪問先企業の人事担当者からあんころをお土産に貰い、
“圓八のあんころ餅。これ、祖父が大好物だったんですよ。”
”そやろ。石川県の人間は、みんな、これ好きなんや
(出典:映画の台詞より)”
というシーンがありました。そこまでではないとしても、正に地元のソウルフードの一つだと思います。映画では一青窈のお母さん役 河合美智子さんがその場で食べてしまいましたが…。
圓八
元文2年(西暦1737年)の創業とのこと。ずーっと続いてほしい味です。
もっと日持ちがすれば、全国的に人気が出ると思います。
しかし、石川県民の秘密のグルメとして知られたくない気持も強く、とても複雑です。