一億円のさようなら
テレビドラマ化
9月27日(日)夜10時から、NHK BSプレミアムドラマ「一億円のさようなら」がスタートします。
白石一文さんの小説
直木賞作家 白石一文さん原作の同名小説を上川隆也さん主演でドラマ化です。
「一億円のさようなら」とは・・・。
原作を是非読んでください。とても面白い小説で引き込まれます。
原作には金沢が登場
原作では主人公 加能鉄平は見知らぬ土地である金沢へ旅立ちます。
金沢の町が詳しく紹介され、石川の食が随所に登場し、地元の人間にとってはとても嬉しい内容です。
が、プレミアムドラマのストーリー紹介では「鉄平は故郷の町へと旅立ち」となっていますので、ドラマには金沢は登場しないような気がします。
金沢の住人としては少し悔しいので、ここでは原作に登場する金沢を加能鉄平の行動を追って巡りたいと思います。
小説の金沢に関連した箇所を加能鉄平の動きに沿って巡ることが主となりますので、詳しいストーリーについては是非小説を読んでください。
金沢の観光案内の様相を呈しますが、金沢の住人のブログです。ご容赦を。
尚、金沢の登場シーンが多いので Part 2 もありますし、さらに続く予定です。
加能鉄平は金沢へ
加能鉄平が金沢という見知らぬ土地へ旅立つ切っ掛けは幾つかあります。
住んでいた福岡の「オークボ」とういう店の大将が金沢出身であったり、「オークボ」で従兄弟(鉄平の会社の社長)の尚之と金沢から届いたばかりの梅貝を食べたり、九州新幹線で偶然再会した藤木波江が金沢の片町で木蓮という小料理屋を経営していたり…。
会社での数々の出来事、そして、私が鉄平の立場だったらノイローゼどころか うつになるような家族の問題があり、退職届を提出した鉄平は冬の金沢へ旅立ちます。
“そうした家族の一切合切を含め て、今日彼は家を捨てて来たのである。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら. 徳間文庫)
「一億円のさようなら」で巡る金沢
いよいよ「一億円のさようなら」で金沢(石川県)巡りです。
尚、使用している写真は個人的に撮り溜めしたものや観光協会などのフリー写真を使用していますので、季節や撮影年月はバラバラです。悪しからず。
金沢ってそんなに寒いのかな?
本題に入る前に。
金沢ってそんなに寒いのかな?
“「金沢はやっぱり寒いん だね」
「昔よりは雪も少なくなったし、とってもいい町なんですけど、冬の北陸はやっぱり寒さが骨身にしみるんです」”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら.徳間文庫)
鉄平や藤木波江から「寒い」という単語が出てきますが、金沢生まれの私が初めて東京で暮らし始めたころ、東京の冬の乾燥した北風がとても冷たかった記憶があります。
そこで、金沢市と鉄平の住んでいた福岡市、波江が直前まで暮らしていた名古屋市、そして二人が昔住んでいた三鷹市(比較に適したデータが無かったので近くの府中市)の平均気温を調べてみました。
個人的な感想ですが、東京の冬の北風は冷たく身にしみました。体感温度は寒暖計の気温より2.3℃低く思えました。
データは連載開始の前年、2016年の数字です。
小松空港へ
真冬の二月、鉄平は福岡空港から小松空港へ。一日四便就航しているようです。
“小松空港は閑散としていた。 一 時間余り前に出発した福岡空港の喧騒と比べると雲泥の差がある。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら. 徳間文庫)
石川県は人口が110万人そこそこです。その石川県にある小松空港。
国内線は6路線(羽田、成田、福岡、新千歳、仙台、沖縄)。
一方、人口が510万人を超える福岡県。国内だけでも28路線の福岡空港と小松空港とでは雲泥の差があります。
小松空港では、航空自衛隊小松基地の戦闘機の離着陸が民間機より多いような…。
小松空港の近くには能の「安宅」、そして歌舞伎十八番でも上演回数の多い「勧進帳」で有名な安宅の関跡があります。義経、弁慶、関守の富樫の像があります。
能が盛んな金沢では謡本を見かける機会も多いですよ。
因みに小松市は建設機械メーカー小松製作所(コマツ、KOMATSU)発祥の地です。
道路に雪が無い
鉄平は小松空港からタクシーで金沢駅前のANAクラウンプラザホテルへ移動します。
道路に雪がありません。鉄平は,
“北陸の雪は接地した途端に溶けてしまうのか”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら.徳間文庫)
と驚きますが、地下水を汲み上げて雪を融かす融雪装置が稼働しているからです。
以前ブログに書きましたが、融雪装置は自動車優先の発想です。
ANAクラウンプラザホテル 能登産のこしひかり
ANAクラウンプラザホテル金沢。夜間に撮った写真ですが少し都会風に見えませんか。
“大きなジャーのそばに「能登産の棚田米こしひかり使用」と書かれたプレートが立てられているのを見て一気に食欲が戻ってきた。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら.徳間文庫)
ホテルの朝食バイキングで、和食派の鉄平は加賀野菜、それと能登産の棚田米こしひかりを見つけて喜びます。
“能登産のこしひかりは一度口にすると忘れられないほどのうまさだが、東京やまして九州では滅多にありつくことができない。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら. 徳間文庫)
加賀野菜と能登産の棚田こしひかり。
こしひかりはこんな棚田(白米千枚田)で作られています。
能登の厳しい自然が美味しいお米を育みます。
2011年に世界農業遺産に指定されました。
平地の少ない能登です。田はとても貴重です。
金沢駅
ホテルの横は「世界で最も美しい駅14選」に選ばれた金沢駅です。
“あの門とドームが「観光都市・金沢」の表玄関であるらしい。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら.徳間文庫)
人気観光スポットの鼓門やもてなしドームがあります。
金沢を訪れた観光客は、駅の木々や街路樹にまで雪吊りが施されていることに驚くようです。雪吊りは全国ニュースで見た兼六園だけだと思っている方がほとんどですね。
駅の東口は観光スポットが多く観光客で溢れていますが、西口は人通りも少なくやや寂しいようです。
“西口方面は、かつての『城下町金沢』からすれば郊外地ということになるのだろう。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら. 徳間文庫)
弁当忘れても傘忘れるな
“どうやら金沢の天候は一日のうちでめまぐるしく変化するようだった。”
(出典:白石一文. 一億円のさようなら.徳間文庫)
鉄平は快晴でも折り畳み傘をバッグに忍ばせて出かけます。「When in Rome, do as the Romans do.」の心積もりです。
実際、金沢の天気は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど急変します。。
特に冬の空は万華鏡のように変化しますので、観光客は鉄平を見習ってください。さもないとビニール傘メーカーを喜ばせることになります。
下の写真は今年の2月4日、快晴の金沢21世紀美術館と、その二日後の2月6日、雪の降っている金沢21世紀美術館です。
写真では日は違っていますが、金沢では一日の間にこのような天候の変化があります。
不動産屋の堀部青年
鉄平は不動産屋へ出かけ住居を探します。
そこの社員の名前が「堀部圭亮」です。この方を思い浮かべました。
片町2丁目のマンション
鉄平が住むことになるマンションは金沢市片町2丁目にあります。
金沢の中心部ですが一歩裏通りに入るとディープな場所が点在します。
戦災や大きな自然災害のなかった金沢には古い町並みが残っていますが、反面再開発などの進捗が遅いのも実態です。
地価の上昇
間取りがほぼ同じマンションの家賃が、金沢は10万円、鹿児島では5万円。
確かに北陸新幹線金沢開業以降、不動産価格は上昇しています。
金沢駅前の地価は北陸三県どころか新潟・長野を含めた北信越五県で最高値となっています。
字数が増えてきましたので今日はここまでとします。
9月27日(日)のドラマスタート前に続きを書く予定です。