日本の石垣SP 金沢城の石垣
昨年(2021年)の7月に放送されたNHKのブラタモリ「日本の石垣スペシャル 〜加賀百万石の城でわかる石垣の魅力とは?〜」。
放送の三日後にブログを書きましたが、番組の最初の部分だけで終わっていました。
先日、Twitter仲間が金沢市を観光で訪れました。その時に、この放送のこともツイートされていました。
ということで、実に一年ぶりのPart2を少し。
尚、写真は撮り溜めした中から選んだものです。従って季節や撮影年度はバラバラです。悪しからず。
金沢城の石垣巡り開始
400年以上前の石垣
タモリさんたちは石垣めぐりを開始。
「400年以上働いてきた疲れきった石ですが」「非常に雑に見えますけどね」などの会話が交わされます。
説明板によれば、本丸南面の石垣は創建は1610年頃。実際に400年以上前の荒々しい割石積みです。
もう少し石川門方向へ進んだ東ノ丸東面の石垣に至っては1592年創建、金沢城最古の野面積み(自然石積み)の石垣です。
400年以上前の石たちで、野面積み(自然石積み)や割石積みの一見非常に雑に見える石垣です。
この辺りの石垣は明治時代に三段になりましたが、藩政時代は高さ25mの石垣だったとのこと。
この石垣の上にある辰巳櫓跡から、番組がスタートした金沢21世紀美術館方向を見た写真です。
真下が復元されたいもり堀。左側を走る道路は藩政期の百間堀を埋め立てたもの。
道路の更に左が兼六園です。
金沢城の古い絵図で見るとハッキリしますね。
大手門跡へ
タモリさんたちは城の正面、大手門跡へ移動します(下記地図の①⇒②へ)。
尚、観光客に人気の石川門(地図の③)は搦手門、裏門です。
大手門跡の近くには、藩政時代からの大手堀が現存しています。
四季折々の表情、美しさがある場所です。
テレビドラマにも登場
話が飛びます。
大手堀は、2018年の日曜劇場「99.9 刑事専門弁護士(SEASON II)」にも登場します。
主役の深山大翔(松本潤さん)が、生まれ故郷の金沢で、亡くなった父の冤罪を晴らすという内容でした。
丸川検察官(青木崇高さん)と話しているのが大手堀前。
二人の後ろに見えるのは地元の人気店、金澤屋珈琲店です。
因みに、ここは金沢城の黒門口です。
尾山御坊や佐久間盛政の時代はここが大手でしたが、前田家の時代に高山右近の進言で現在の場所に大手門が移りました。
大手堀
話を戻します。
大手堀の石垣を見たタモリさんたち。
「この石垣も古い」「似てますね!」の会話。
大手堀の石垣は創建が慶長(1596年~1615年)頃、金沢城初期の古い石垣です。
先ほどまで見ていた石垣と同じ頃ですから似ていますよね。
1799年の地震後上段は改修されましたが、下段の石垣は昔のままです。
大手門口
いよいよ大手門跡です。
お城の正面、表玄関だけに先ほどまでの石垣とは違い大きな石が目立ちます。
権力の象徴、城主の威厳を示すための鏡石です。
穴太衆
金沢城の石垣も、穴太衆(あのう:穴生とも)と呼ばれる石垣の専門職人の高度な技術によって作られました。
鉛瓦
ここで白く輝く鉛瓦の話題になります。
映える鉛瓦
金沢城の屋根には、通常の瓦ではなく薄い鉛を貼り付けた鉛瓦が用いられています。
鉛瓦は歳月を経て白くなり、金沢城の優美さの象徴となっています。
実際の写真で白く輝く鉛瓦をどうぞ。
先ほどのテレビドラマ「99.9 刑事専門弁護士(SEASON II)」にも鉛瓦の金沢城をバックにしたシーンが登場します。
まるで雪が積もったように見えますが、これが8月のお盆過ぎの撮影だと言いますから驚きです。
鉛瓦は江戸城などにも
慶長年間、初代の江戸城天守にも鉛瓦が使われており、江戸時代の古文書には「鉛瓦を使用したのは名城の姿を壮美にするため」と書かれているとのこと。
ただし、天守以外の屋根にまで鉛瓦が使われている城は金沢城だけのようです。
鉛瓦で鉄砲の弾?
鉛瓦の本来の目的は、鉛瓦を葺くことにより、強度や硬さ、それに酸に腐食されないための耐酸性を高めることです。
これに加えて、小学生か中学生の時に習ったのが、有事の際には鉛瓦を熔かして鉄砲の弾にした、という説です。
桑子アナの指摘
ここで桑子アナの一言。
「いざという時に これをとかして弾丸をつくってるようでは」。
確かにそうですね…。
金沢城が鉛瓦になったのは、前田綱紀の時代に行われた改修からとのこと。
1600年代の後半ですね。
徳川の治世も安定した時代ですから戦役の心配もほとんどなかったはずです。
桑子アナの疑問はもっとも。
ここで一旦ブラタモリから離れます。
ニッポン不滅の名城
今年(2022年)の1月22日に放送された、同じNHKの「絶対行きたくなる!ニッポン不滅の名城~金沢城~」に答えがありました。
番組では、金沢城の ”美” に加え前田家の美意識を取り上げていました。
結論から申し上げますと、桑子アナの疑問は正しかった。
雪国の宿命を美で解決
普通の屋根瓦では屋根の重量が増し、雪の重みが加わると屋根は大変な重さになります。豪雪地帯のニュースで、民家の屋根の雪下ろしを見た方も多いと思います。
雪下ろしをしなければ建物自体の倒壊も懸念されます。
そこで、鉛瓦で屋根の重量を軽減する工夫がなされました。
そして、それが白く映える美しい城を生み出すこととなります。
結論。白く輝く鉛瓦は雪国ならではの対策の賜物でした。
以上、桑子アナの鋭い指摘から脇道に逸れました。
また長くなりました。今回は以上ですが、金沢城の話題は続ける予定です。