Hans Potterの日々

映画と音楽と本、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

金沢の建物巡り 尾張町界隈 Part1

金沢の建物巡り

軍都 金沢の記憶

去年(2021年)の10月23日に「金沢の建物巡り ”軍都” 金沢の記憶」と題したブログを書きました。

明治、大正時代の旧陸軍省に関連した、金沢の古い建物に関したブログです。

hanspotter.hatenablog.com

桐木憲一さん原作の「金沢シャッターガール」を題材にしたブログ「金沢シャッターガールで巡る金沢 Part1」の一部を編集・加筆したものです。

hanspotter.hatenablog.com

金沢の建物

幸いにも戦災や大きな災害のなかった金沢市には、

江戸時代の建物、

金沢城石川門、武家屋敷

明治時代の建物、

石川県立歴史博物館、尾山神社神門

そして、大正、昭和は勿論、平成、令和の建物が残っています。

金沢21世紀美術館(写真提供:金沢市)、金沢駅 鼓門

地元紙 北國新聞の記事

古い時代の建物と、新しい時代が共存している金沢ですが、2021年10月、地元の北國新聞に「洋館の町ずらりと」という記事が掲載されていました。

洋館が、尾張町を中心とした一角に集中しているという内容で、金沢市の洋館を取り上げていましたが、今回はこの記事に載った建物を軸に金沢を巡ってみます。

尾張町界隈の古い建物

尾張町界隈の古い建物で、私が意識して訪ねたのは下の写真の建物が最初です。

表通りから道沿いに140mほど入った所です。

尾張町の古い建物

何この建物!? 洋館じゃないじゃん。

という声が聞こえてきそうですね。

山上たつひこさん

経緯を説明します。

がきデカ」で有名な山上たつひこさんが金沢在住で、文筆活動をされています。

石川県の方なら、今年(2022年)3月に北國新聞に掲載された土曜小説「モニュメント」をご覧になったかも。

江口寿史さん

その山上たつひこさんを “ココロの師匠” と呼ぶ江口寿史さんが、山上たつひこさんの小説「枕の千両」のカバーのイラストを描いています。

詳しくはこちらのブログで。

hanspotter.hatenablog.com

前置きが長くなりましたが、このカバーのイラストが金沢の風景だと知って探しました。

そして見つけたのが先ほどの写真の建物です。

カバーのイラストと実際の写真です。

カバーのイラスト

実際の写真

尾張町

尾張町の表通り

尾張町

前田利家金沢入城の際に、尾張荒子前田利家生誕の地)から呼び寄せた御用商人の居住地だったことが町名の由来と言われています。

それまでの私は、尾張町では表通りばかり歩いていました。

表通りでは、所々町家が壊されて歯抜け状態なのが気になりますが、現在でも営業している老舗に加え、古い町家を利用した飲食店なども目立ち、個人的に飲食したお店も並んでいます。

中には伊能忠敬が宿泊した旅館の跡地の店舗も。

森忠商店

石黒薬局

ア・ラ・フェルム・ドゥ・シンジロウ、黒田香舗

梅梅(めいめい)

旧田上医院

イラストの建物を探して、表通りから一歩入って気付いたのは、この周辺には表通りとは時代の違うレトロな建物が沢山残っているということです。

新聞の記事にはこのイラストの建物の写真は載っていませんでしたが、記事の建物と思しき旧医院が隣に。

下記のサイトを見ると、イラストの建物を含め、両隣の建物は全て旧田上医院関連のようです。

新・レトロ建築写真帖 旧田上医院

イラストの建物は旧田上医院の臨床検査所。

旧田上医院(臨床検査所)

隣の旧田上医院の建物は昭和7年 (1932年)竣工。

旧田上医院(医院部分)

自宅部分(旧田上家)は昭和6年(1931年)築。

旧田上医院(自宅部分)

それぞれ金沢市の指定保存建造物です。

村松商店

旧田上医院から120mほど歩くと、記事に載っていた旧村松商店の建物。

村松商店

現在は、Cazahanaというインテリアショップです。このお店の名、ラテン系の言葉かと思ったら「カザハナ」と読むそうです。

昭和3年(1928年)築。

この建物は国の登録有形文化財金沢市の指定保存建造物にもなっています。

旧三田商店

ここから表通りへ50mほど歩くと、旧三田商店が道路に面して建っています。昭和5年(1930年)建築。

旧三田商店

現在は骨董品販売、そして画廊喫茶となっているこの建物は、藩政末期創業の輸入小間物商だった三田商店の店舗でした。

国の登録有形文化財となっている建物です。金沢市の指定保存建造物にもなっています。

鉄筋コンクリート造2階建て。

近隣に “看板建築”(木造の建物をコンクリート造のように見せる建築方法。屋上部分に木造の屋根が見えることが多い)と思われる建物も多いので、本格的な鉄筋コンクリート造は当時目立ったことでしょう。

ごっぽ石

話が少し外れます。

建物の入口横には金沢弁で “ごっぽ石”と呼んでいる石。

旧三田商店(入口横の ”ごっぽ石”)

雪道を下駄で歩くと下駄の歯と歯の間に雪が詰まってきます。その下駄を “ごっぽ石” にコンコンとぶつけて雪を落とします。

長町の武家屋敷エリアでよく見かけますが、昭和5年に建てられたモダンな建物に “ごっぽ石”。

もっとも武家屋敷エリアの “ごっぽ石” は、狭い道を右左折する車のタイヤから建物を守るのに役立っているような…。

“ごっぽ石” (武家屋敷エリア)

石川銀行橋場支店

ここから東へ50m。

昭和4年(1929年)に高岡銀行橋場支店として建築され、最後は旧石川銀行橋場支店だった建物です。国登録有形文化財

石川銀行橋場支店(金沢文芸館

現在は金沢市金沢文芸館となっています。二階には、金沢所縁の作家、五木寛之さんの金沢五木寛之文庫。泉鏡花文学賞に関連した展示もあります。

石川銀行橋場支店(金沢文芸館

また長くなりました。

今回は地図のこの辺りしか回っていません。

次回へ…。