泉鏡花のくるみのあめ煮
テーマは「泉鏡花のくるみのあめ煮」でした。
泉鏡花は、金沢が生んだ三文豪(金沢では、室生犀星、泉鏡花、徳田秋声の三人を三文豪と呼んでいます)の一人。
このうち室生犀星についてはブログで取り上げたこともあります。
金沢三文豪に関したブログ。
今回は、今年(2023年)の11月に生誕150年を迎える泉鏡花です。
泉鏡花
レイ・ブラッドベリ
泉鏡花。
私の生まれ故郷 金沢市出身の作家ですので名前は当然知っていました。が、作品を読んだのは高校生になってから。
「高野聖」が初めてでした。
中学生の頃から読んでいて好きだったレイ・ブラッドベリ。
若きHans Potterは、レイ・ブラッドベリと同じような匂いを嗅ぎ取ったのだと思います。その後、何冊も読み漁りました。
鏡花についての知識
ただ、泉鏡花について作品以外で知っていることは、摩耶夫人信仰や、極度の潔癖症、といった程度で、それも社会人になってから購入した「太陽(1988年10月号)」からの知識です。
従って、番組に登場した、 くるみのあめ煮のことや、泉鏡花と目細八郎兵衛商店との関係は知りませんでした。
摩耶夫人信仰
鏡花の母 鈴は、鏡花が9歳の時に28歳で他界しました。
鏡花は父に連れられて松任(現在の石川県白山市)の行善寺を参詣しています。
そのお寺の摩耶夫人像。
幼い鏡花には、釈迦の生後間も無く亡くなった摩耶夫人と、母 鈴が重なったのでしょう。
後々、金沢の仏師に25㎝ほどの摩耶夫人像を造らせ生涯書斎に、とのことです。
潔癖症
番組でも紹介されていましたが、鏡花は極度(過度)の潔癖症で、生ものは食べない主義だったようです。
鏡花は医者の持つ消毒器にアルコール綿を入れて携行し、行く先々でアルコール綿を使用していたようです。
酒は熱燗を通り越して、グツグツと煮立つまで燗をするので「泉燗」と呼ばれていたそうです。アルコールは飛んでしまうでしょうね。
あんパンも炙ってから。
第三者としては、面白い話だね、で済みますが、当事者、特に奥さんは大変だったでしょうね。
Wikipediaに泉鏡花の潔癖症についての記載があります(下のリンク)。
因みに、奥さんの名前は ”すず”。偶然でしょうが鏡花の母親は ”鈴”。
奥さんは元芸者で、湯島の白梅のお蔦、主税で有名な「婦系図」のお蔦のモデルとのこと。
くるみのあめ煮
前置きが長くなりました。ここから、くるみのあめ煮の話題です。
番組の中でも鏡花とのツーショットを初め何度も登場します。
艶々とした くるみのあめ煮が美味しそう。
佃のくるみ煮
これは当然、実食による確認が必要ですね。
家族が番組に登場した佃(金沢の佃煮屋さん)のファンで、わが家では佃煮には事欠きません。
くるみのあめ煮も家にもあるはず………ありました。
いろんな種類があります。
家族に聞くと、純粋な極上くるみ煮と他のバリエーションのくるみ煮では、値段は三倍の開きがあるとのこと。
原材料名を見ると、くるみが国産か外国産の違いが値段の差のような…。
番組で、くるみ煮の製造過程を見ると………然もありなん。
白山麓産のクルミを火で焙り、一つ一つ手作業で割り、実の形が崩れないように慎重に取り出しますが、これが難しく根気の必要な作業。
丁寧な作業で選別された形の整ったくるみ。佃煮屋さんが米あめなどの材料に秘伝の元蜜を加えて仕上げます。
食べながらテレビを見ていたら、私一人で殆ど。あっという間に遠慮の塊に。
味醂の艶やかな照りが、より一層食欲をそそります。
おやつが香箱蟹とくるみ煮
幼い頃の記憶を辿ると、くるみ煮と香箱蟹がよくおやつ代わりになっていました。
両方とも、亡くなった母の好物だったので必然的に接することが多い食べ物でした。
今では高級品。とても我が子のおやつには提供できません。
泉鏡花の生まれ育った場所
下新町の通り
番組に登場するノスタルジックな通りは、新町・鏡花通りと名付けられた泉鏡花生誕地近くの通りです。
左側のレトロな建物は昭和6年(1931年)竣工の個人病院です。
この下新町や尾張町はレトロな建物が多い町です。
泉鏡花記念館
泉鏡花の生家跡のシーン。
現在の泉鏡花記念館ですね。
平成11年(1999年)に鏡花の生家跡に建つ邸宅を増築・改修して開館。
番組では、秋山稔館長が登場して解説されていました。
金沢蓄音器館
泉鏡花記念館の周囲は、
金沢蓄音器館(240の蓄音器と20,000のSPレコードがあります)、
柳宗理記念デザイン研究所
バタフライ・スツールのデザインで有名な柳宗理の記念デザイン研究所(昔、金沢に居た頃の記憶では、老舗和菓子店 森八の旧店舗だったような)、
佃 本店
先程も登場した、くるみ煮の佃 本店、
久保市乙剣宮
そして、泉鏡花も境内で遊んだであろう 久保市乙剣宮に囲まれています。
神社の前には「照葉狂言」の一節が。
旦那衆のルート
久保市乙剣宮拝殿の横を通り、境内の稲荷社のすぐ先に暗がり坂があります。
その昔、旦那衆が人目を忍んで茶屋街へと通ったルートです。
泉鏡花記念館を訪れれば、近辺には見所が沢山ありますよ。
と、ここまでで字数が多くなりました。
今回をPartⅠとして、PartⅡに続きます。
今回は くるみのあめ煮の話題が多くなりましたが、次回は番組に沿った内容で。