Hans Potterの日々

映画と音楽、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

鈴木大拙館 思索する金沢観光 

兼六園の秋

季節の移ろい

金沢市の人気観光スポット、兼六園

その兼六園に、定点撮影の如く何年か撮り続けている場所があります。

10月24日と11月25日の写真を比べると時の移ろいを感じますね。

一ヵ月で雪吊りと紅葉が目立つようになりました。逆さ雪吊りが綺麗です。

10月24日

11月25日

百人一首の秋

“奥山に紅葉踏み分けなく鹿の声きく時ぞ秋は悲しき”

秋を目と耳で捉えて詠んだ歌です。

百人一首で、一番多く詠まれている季節は秋だそうですが、日本人の感性にピッタリの秋も終盤。

いつのまにか冬へ移ろうとしています。

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鈴木大拙

時の過ぎゆくままに

この一ヵ月、 “すっかり つかれてしまい”、時の流れを強く感じた日々でした。

10月31日のプライベートな悲しい別れを一時でも忘れようと、11月は金沢市内を歩き回ることが多かったですね。

鈴木大拙

中でも、個人的には “無” に一番適していると思っている場所、鈴木大拙館へは何度か。

鈴木大拙

現から思索の世界へ

入り口から続く仄暗い廊下は、現(うつつ)から思索の世界へ誘っているようです。

内部回廊

設計方針は、「鈴木大拙について知り、学び、そして考える」ことだそうですが、この廊下だけでも鈴木大拙の世界を表現した金沢所縁の設計者 谷口吉生さんの意図が十二分に伝わってきます。

鈴木大拙館のHPにも、

“金沢が生んだ仏教哲学者・鈴木大拙の考えや足跡を広く国内外の人々に伝えることにより、大拙についての理解を深めるとともに、来館者自らが思索する場所として利用することを目的に開設されました。

(出典:鈴木大拙館WEBサイト)”

とあります。

鈴木大拙館について | 鈴木大拙館

観光客に人気の「水鏡の庭」と「思索空間」棟がそれを如実に表しています。

施設概要 | 鈴木大拙館

思索空間へ

内部回廊、外部回廊、そして思索空間棟。

思索空間棟へ

そして思索空間棟から眺める水鏡の庭。

思索空間棟の内部

水鏡の庭は方丈記の世界観

水面(みなも)が様々な表情を見せます。

水面の表情

時には波紋も。幾重にも輪が広がり、そして消えます。

波紋

水鏡に映える木々の影。

早春。

早春

油を流したようにピクリともしない真夏の水面。

紅葉を映しとる秋。

寒々とした水面に束の間の日が射す冬。

四季折々の表情があります。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

(出典:鴨長明方丈記冒頭

まさに方丈記の世界です。

この思索の場に ”水” を持ってきた感性は素晴らしいと思います。

秋と夏の写真が好きです

個人的には秋、

秋の水鏡の庭

そして、ねっとりと水面が静まり返った真夏の写真を気に入っています。

夏の水鏡の庭

いろいろ考えたり、思い出したり、そして無になったりするのに適している場所であることが、度々私がここを訪れる理由です…かね。

水鏡の庭の維持

休館日に訪れると、美しい水鏡の庭を維持するための作業を見る機会もあります。

水鏡の庭の清掃

静寂な佇まい

周囲には本多公園の木々が広がり、金沢市の中心部とは思えない静寂な場所です。

周囲の木々

鈴木大拙とは

ところで、「鈴木大拙って誰?」という方もいると思います。

鈴木大拙は、日本の「禅」文化を広く海外に知らしめた方で、著作約100冊のうち四分の一が英文での記述。そして妻ベアトリス・アースキン・レイン・スズキもラドクリフ大卒のアメリカ人という国際派です。

詳しくはWikipediaで。

ja.wikipedia.org

再度、鈴木大拙館について

トリップアドバイザー

大学入学以降、生まれ故郷の金沢を離れていた私ですが、鈴木大拙館が開館した翌年、平成24年に初めて訪れました。

その頃も外国の方を見かけました。国際派だけに、やはり海外での認知度が高い方ですね。

世界で最も閲覧数の多い旅行口コミサイトTripAdvisorで、最も栄誉あるトラベラーズチョイスアワード2015「世界の人気観光スポット 2015 ~博物館・美術館編~」で、【日本の博物館・美術館 トップ 10】入りした金沢の人気観光スポットです。

日本の博物館・美術館 トップ 10(出典:下記のWEBサイト)

tripadvisor.mediaroom.com

同じ年(平成27年)の北陸新幹線金沢延伸も相俟って入館者数は倍増しています。

思索する場所

本来は「来館者自らが思索する場所」ですが、入館者数の増加に伴い賑やかになってきています。

ある時、外国の方がベンチに座り、一人静かに「水鏡の庭」を見つめていました。

水鏡の庭を見つめる外国の方

ところが、そこへ日本人の女性三人組が現れた瞬間、静寂は消え去りました。

日本人より外国の方の方が、建物の設計者の意図と禅の意味を理解しているように見えた瞬間です。

水鏡の庭と紅葉(写真は本文とは関係ありません)

来館者が増えた昨今は、水面(みなも)との対話も5分から長くて10分が限度となってきましたが、生家が北陸では少数派の禅宗です。

父に連れられ、幼い頃から大乗寺などで坐禅に慣れ親しんでいた私には5分で十分(笑)

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鈴木大拙西田幾多郎

大拙の生誕は金沢ですが、墓所金沢市の野田山と、北鎌倉の東慶寺にあります。

鈴木大拙誕生地記念碑(鈴木大拙館の近くです)

金沢市野田山の鈴木家墓所への標柱

北鎌倉の東慶寺は映画「駆込み女と駆出し男」などで知られる縁切寺です。

同じ境内には大拙刎頚の友、「善の研究」で知られる西田幾多郎の墓があります。西田幾多郎が死去した時に大拙は号泣したと言いますが、今では同じ地で安らかに眠っています。

鎌倉へ旅された時には一駅前で下車して、お二人の墓参は如何でしょう。北鎌倉の駅から近いですよ。気持ちよく歩ける環境です。記念碑のある生誕の地とは違い、鎌倉の豊かな自然に囲まれた静かな場所です。内部は公開されていなかったと思いますが、大拙所縁の松ケ岡文庫もあります。

西田幾多郎記念哲学館

西田幾多郎の「西田幾多郎記念哲学館」も石川県にあります。

平成14年に安藤忠雄さんの設計でオープンしました。

思索の道を通って向かいます

西田幾多郎記念哲学館

自分で「迷い、考える」ことをコンセプトとしています。

周囲の風景

西田幾多郎記念哲学館」には展示物の説明がありますが、「鈴木大拙館」にはありません。

鈴木大拙館」は「西田幾多郎記念哲学館」の9年後に開館しました。より一層、「自分で考える」ことを推し進めたのかも知れませんね。

西田幾多郎記念哲学館」。時間に余裕があれば訪れてみるのも良いかも。

西田幾多郎記念哲学館(館内)

ただ、通常の観光ルートから離れた かほく市にありますのでアクセス面では少々不便かもしれません。

今回は以上です。