Hans Potterの日々

映画と音楽と本、そして食べることが好きなオジサンです。徒然なるままに…

金沢のお盆 やや不都合な真実

金沢のお盆は新盆

金沢市は、旧市内を中心にほとんどが7月の新盆です。

金沢に隣接する市は旧盆ですから、やはり全国的に新盆の地域は珍しいようですね。

柴又在住の先輩

話が飛びます。

丁度二年前のブログでも取り上げましたが、お盆の時期になると必ず思い出すことがあります。

hanspotter.hatenablog.com

社会人になって間もない頃、職場に柴又在住の方がいました。典型的な東京の下町の人で、悪気はないけど口が悪いタイプでした。

念の為付け加えますと、東京も新盆です。昔から東京に住んでいる人(俗に、三代続いて江戸生まれの江戸っ子)や東京にお墓のある人の話ですが。

私の出身地、金沢市内が7月の新盆だと知った途端、「おっ、7月の盆か!? 田舎にしては珍しいな」です。

繰り返しますが、口は悪いけれど、本人に悪気はありません。江戸っ子です。

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江戸っ子(出典:イラストAC)

その日、飲みに行った呑兵衛二人は早速お盆の話で盛り上がりました。

「盆が旧盆(8月)なら、正月も旧正月(2月)にすりゃあ良いのによ。なんで正月は1月なんだ!?」「『盆と正月が一緒に来たようだ』って言うけどよ、半年毎だから丁度良い塩梅なんだよ。間隔が違っちゃおかしいよな」等々。

口の悪い先輩は言いたい放題でした。

妙に説得力があり納得したものです。

盆休み

会社の同僚には8月の旧盆の人が多いため、7月の新盆の私は盆休みが取り易く、列車も混んでいないので大助かりでした。また、皆が休んでいる8月の旧盆に出勤しても、世の中自体が休んでいる状態で、とても楽な通勤で仕事も暇でした。

やや不都合な真実

話を戻します。

金沢の隣の市に行けば旧盆。ということは、金沢市内で新盆 7月の墓参を済ませた金沢市民は、親戚が金沢市以外の場合は旧盆 8月のお墓参りが待っています。

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お墓参り(出典:イラストAC)

連れと私は金沢市内出身なので新盆です。ただ、私や連れの母方の出身が金沢市ではないので8月の旧盆もお墓参りです。

お墓参りは当然のことですので、何が やや不都合な真実なのか…。

金沢(故郷)以外に住んでいると、7月と8月の二回帰省する必要があります。

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二ヵ月連続のお盆(出典:イラストAC)

二カ月連続の盆休みが取り辛く、旧盆のお墓参りはほとんど両親に任せていました。

今年は祝日の移動に注意!!

話が飛びます。

上のカレンダーを注意して見てください。

7月18日の週と、8月8日の週。お宅のカレンダーと祝日が違いませんか?

今年は、東京オリンピック開催に伴い、改正特別措置法に基づき祝日が移動しています。

来週の7月19日(月)は祝日ではありませんので、間違えずに出勤してくださいね。

やや不都合な真実

話を戻します。

普段の野田山墓地近辺

金沢市の南東に位置する野田山は、加賀藩の藩祖 前田利家が墓を作ったのが切っ掛けで、前田家の墓所重臣の加賀八家の墓所を始めとした武家の墓、そして町人など、身分や宗派、宗教(仏教、神道キリスト教等々)に関わらない墓地となっています。

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野田山墓地(一帯の丘陵地にお墓が密集しています)

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前田家墓所

金沢出身の室生犀星鈴木大拙(鈴木家)の墓所もある丘陵地帯です。

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室生犀星墓所

hanspotter.hatenablog.com

大名並みの知行五万石、加賀藩筆頭家老本多家の菩提寺 大乗寺(映画「ファンシイダンス」のロケ地)があります。

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加賀藩筆頭家老本多家の菩提寺 大乗寺

hanspotter.hatenablog.com
大乗寺の名を冠した近くの大乗寺丘陵公園は市民の憩いの場です。

普段はとても静かな場所です。

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大乗寺丘陵公園からの金沢市街地眺望

新盆の野田山墓地近辺

ところが・・・。

新盆の時期は一変して大混雑。

野田山墓地は金沢独特のキリコ(切篭灯籠)と呼ばれる一種の灯籠が、お墓参りにきた人によって墓前につるされます。一般的な箱キリコで説明すると、灯籠流しの灯籠に屋根を付けたようなものを想像してください。

他地区の方が見ると「?」と思う光景ですが、大学入学で東京へ行くまではこれが当たり前だと思っていました。

昨今は、一般的だった箱キリコだけでなく、簡略化した板キリコも増えています。

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墓前の箱キリコ(左)と板キリコ(右)

キリコに関してのやや不都合な真実 その1

簡略化した板キリコが増えているのは、箱キリコに比べてかさ張らず持ち運びが便利なことも理由の一つでしょう。箱キリコと比較すれば製造も簡単でしょうし、値段も…。

また、地元の間伐材を使用しているものもあるようです。

問題となっていたのが、キリコの後片付けです。

お盆の時期、金沢では例年30万個ほどのキリコが出回るとのことです。

30万のキリコの後片付けを想像してください。かさ張らない板キリコが増えているのも納得です。墓前のお花の後片付けもありますし…。

キリコに関してのやや不都合な真実 その2

真宗王国の金沢では、市販のキリコは浄土真宗のお題目 “南無阿弥陀仏” のものがほとんどでした。

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南無阿弥陀仏”一色の箱キリコ

浄土真宗以外の宗派の方は大変だったでしょうね。

もっとも、真宗王国ですから、大部分の方は気にもしなかったでしょうが。

最近では“南無妙法蓮華経” や “南無釈迦牟尼仏” も登場しています。

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“南無釈迦牟尼仏” や “南無妙法蓮華経” の板キリコも

わが家は曹洞宗なので “南無釈迦牟尼仏” ですが、墓は金沢市内のお寺にあるので、キリコはお寺さんで用意していただけますし、連れの実家は浄土真宗ですから不便はありませんでした。

キリコに関してのやや不都合な真実 その3

それと、キリコには もう一つの機能があります。

キリコにはお参りした人の名前を書きます。

「〇〇さんがもう来ている。△△さんは今年も来ていない」とのチェック機能です😂

最後に

野田山墓地を歩くと、無縁墳墓が増加しているのを感じます。

少なくとも我が子にはお盆の風習を伝えていくつもりです。

今日は以上です。