弥生、三月
梅
三月ですね。
1月、2月の猛烈な寒波と雪に耐えて咲き始めた梅。
雪かきの途中で梅の花を見つけてホッとした今年の冬です。
三月になり、わが家の梅はそろそろ終了です。寒い間楽しませてくれました。
強烈な寒波の影響で、例年は2月末には咲いているクロッカスが漸く開き始めました。
庭の椿
亡くなった父母が好きだった庭の椿。
四種類の椿が残っています。
西王母
秋から翌年春先まで咲く西王母。
加賀侘助の自然実生で、幕末から金沢に伝わる茶席の名花です。
冬の間も咲くので茶花として重宝される西王母。
蕾も可愛い丸みを帯び、開き切ることなく落花するピンクの綺麗な椿です。
冬には真っ赤な椿
いろいろ調べましたが、名前については…?…。
弁解になりますが、椿はとても種類が多く、また、とても似ている品種が多いので分かりませんでした。
白い雪に濃い赤が映えます。
乙女椿
3、4月に咲くピンクの乙女椿。
個人的には一番気に入っています。去年の写真ですが。
白い椿
この白い椿も乙女椿と同じ時期に咲きます。これも去年の写真です。
俯き加減に咲く真っ白な椿。乙女椿以上に清楚な風情が漂います。
雨に濡れてしまったので、一輪挿しの花は少し傷んでいるのが残念。
ナツツバキ
それと、椿ではありませんが、ナツツバキ(別名;沙羅双樹)も綺麗ですね。
椿
庭の椿は3月から4月にかけて次々と開花します。
漢字の「椿」。
「木」偏に「春」と書いて「椿」ですね。
本家の中国で「椿」は、日本の椿とは別種のセンダン科の植物とのこと。
日本原産のユキツバキが早春に花を咲かせ春の訪れを知らせることから、「椿」という字を日本の「ツバキ」に当てた国訓と考えられているそうです。
ユキツバキ。丘陵地帯や山間部でよく見かけます。
椿は縁起が悪い?
前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。
皆さんは「椿は縁起が悪い」と聞いたことがありませんか。
椿は武士に嫌われた?
椿の落花
「椿の花はポトッと落ち、打首を連想させるので縁起が悪い、と武士は嫌った」。
小学生の頃、この話を学校で聞いたことを憶えています。
わが家の椿も同じく落花します。
勿論、ナツツバキ(別名;沙羅双樹)も落花します。
椿の落花の理由
椿がポトッと落花するのには、生き抜くための理由があります。
次のサイトをご覧ください。
本当に武士が嫌った?
その後何年も経って、金沢の街を歩いていると疑問が。
典型的な城下町、武士の町だった金沢ですが、旧市内では椿をよく見かけます。
また、曹洞宗、臨済宗などの寺(禅宗の寺=武家の菩提寺が多い)にも椿が綺麗な花を咲かせています。
武士には寧ろ ”潔い”
そんなとき見かけたのが、
「縁起が悪いから武士が嫌ったというのは町人の発想。武士なら寧ろ潔いと考える筈」との記述。
一休さん
「花は桜木 人は武士」
一休さんのモデル 一休宗純の「花は桜木 人は武士」にあるように、桜は日本人の感性にマッチして好かれています。
一斉に咲き、一挙に散る桜の潔さが日本人に好かれている理由ではないでしょうか。
それと同じ理由で、潔い散り際を見せる「椿」を武士が嫌うというのは………。
「本当に武士が嫌っていた?」 という疑問が沸沸と。
武士道 BUSHIDO
「葉隠」の一節に「武士道と云うは死ぬことと見つけたり」があります(間違った解釈をされがちな一節ですが)。
武士には、椿の落花は ”潔い” と映る筈では…。
付け焼刃ですが、武士に関連する本も読みました。
椿三十郎
隣の武家屋敷は椿屋敷。襲撃の合図として使われる立派な椿が。
話が飛びますが、このラストシーンが有名な映画ですね。
至近距離での果し合い。
懐手⇒懐から手を出し⇒抜刀⇒血しぶき。
椿山荘
話を戻します。
上京したての人には難読の “椿山荘”。
ここも “つばきやま” と呼ばれるほど椿が多い場所にあった武家屋敷跡です。
椿は武士に好かれていた
平安時代
椿は縁起の良い吉祥木
気になって図書館で植物図鑑など、関連する書物を調べたことがあります。
調べた範囲(あくまで私の調べた範囲)では「椿は縁起が悪い」は “俗説” で、逆に縁起の良い花でした。
平安時代には、吉祥木として、貴族の間で「高貴な花」「聖なる花」として扱われ、魔除けにも使われたようです。
武士の時代
千利休
千利休は茶花として椿を好んでおり、
茶の湯の隆盛とともに庭木としての椿の人気が高まり、豊臣秀吉も千利休同様に茶花に椿を好んで用いて伏見城にも椿が植栽されています。
(引用:ニッポン旅マガジンWEBサイト名古屋城・御殿椿 (tabi-mag.jp) )
とのことです。
江戸時代
更には、江戸時代。
2代将軍・徳川秀忠が、諸大名に各地の名椿を献上させ、吹上御殿に椿畠をつくり、品種改良して名花を生み出したことで、椿栽培のブームを生んでいます。
(引用:ニッポン旅マガジンWEBサイト名古屋城・御殿椿 (tabi-mag.jp) )
金沢の椿と茶道人口
千利休が茶花として好んだ椿。
茶道の盛んな武家の町 金沢市内で椿をよく見かける理由も納得です。
石川県は、25歳以上の人口100人あたりの茶道人口が全国一位です。
以前は、釣書(身上書)に「お茶、お花」が当たり前だった土地柄ですが、最近はお見合いが減っていますし、どうですかね。
因みにお茶に欠かせないのが和菓子。
人口10万人当たりの和菓子店が多い都道府県は、
一位が京都、二位が石川。納得。
町人の発想
兵庫県立フラワーセンターの滝口洋佑さん
「椿は縁起が悪い」という俗説が流布したのは、「椿人気に嫉妬した牡丹愛好家が噂を流した」説、「人気が町人に広がり過ぎないよう、武士自身が噂を広めた」説などがあるようです。
確かに2代将軍・徳川秀忠の椿好きが町人にも広がったのかも知れませんね。
ほかにも、かなり前に読んだ兵庫県立フラワーセンターの滝口洋佑さんの研究を憶えていました。時が流れていますので不安でしたが、下記のサイトに記述がありました。
それに拠ると、
「武士の首がぽとりと落ちるようで縁起が悪い」という説は、明治時代に作られ広まったものであるそうです。
幕末から明治初めに薩摩や長州の出身者から “やられっぱなし” だった江戸っ子たちが、ツバキ好きの薩長出身の政府高官らが大手を振って歩くのに対する鬱憤晴らしで言い出したのが始まりで、これがあたかも本当の話として全国に広まったようです。
(出典:京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈 WEBサイト 江戸時代の武士が椿を嫌っていたって本当? - 京都園芸倶楽部の元ブログ管理人の書笈 (goo.ne.jp))
語弊があるかもしれませんが、薩長に対する町人の鬱憤晴らしからの発想だったようです。
椿は縁起が悪いという県
確かに「椿は縁起が悪いという県」17都県(秋田・宮城・千葉・東京・山梨・長野・富山・福井・岐阜・三重・和歌山・鳥取・岡山・広島・愛媛・大分・熊本)に薩長は入っていません。
ただ、調べた範囲では、お隣富山県の県庁所在地 富山市の花木は椿ですし、愛媛県の県庁所在地 松山市の市花は椿でした。
「椿は縁起が悪いという県」の根拠はなんでしょうね。
椿にかけられていた冤罪
個人的にですが、私の中では椿にかけられていた冤罪は晴れました。
皆さんも「縁起が悪い」を払拭して椿を愛でてください。
椿の花言葉
椿の花言葉は、色によって違いますが、
赤い椿は「見栄を張らない」「慎しみ深い」「高潔な理性」「謙虚な美徳」etc,
白い椿は「最高の愛らしさ」「至上の美」「素晴らしい魅力」「誇り」etc.
ピンクの椿は「控えめな美」「控えめな愛」「慎み深い」etc.
良いですね。
椿、カメリアと言えば
カメリア・ダイヤモンド
最後になりますが、椿、カメリアと言えば、
ファラ・フォーセットのこのCMを思い出します。私には縁遠いんですが。
ココ・シャネル
それと、これも私には縁遠いココ・シャネル。
シャネルも椿(カメリア)に魅せられています。
シャネル カメリアコレクション。
長くなりました。今日はこれで。