気付くと一ヵ月近くブログを更新していませんでした。
あぁ、新型コロナ!!と、先ずは言い訳から。
今回は少しお堅い話です。
ドキュメンタリー映画の公開
1969年(昭和44年)5月、東大駒場キャンパスで開催された、三島由紀夫と東大全共闘の討論会が、ドキュメンタリー映画として3月20日に公開されました。
金沢では4月3日からの公開らしく、まだ観ていません。
そのため、予告編と爆報!THEフライデーからの情報です。悪しからず。
ほかの話題で有名になっている人が映画のナレーション担当なので、映画公開事前トークショーでは他の質問目当てのマスコミが多く、勿体なかったですが…。
三島由紀夫
出合いは小学校
私の卒業した小学校の図書室には、かなりの数の本がありました。
また、司書先生(司書教諭)が色んな本を薦めてくれました。
三島由紀夫の潮騒や遠藤周作の沈黙は小学校で読んだ記憶があります(難しかった記憶のみです)が、蔵書の選定基準はどうだったんだろう…。
そう言えば、貸出カードの無い本もあったような。先生の個人所有だったのか。
記憶が全て霧の中です。
ノーベル文学賞の最有力候補だった
当時、日本での人気は凄いものだったようです。
また、日本国内だけでなく “天皇を別として海外で最も有名な日本人” だった三島由紀夫は、1963年に初めてノーベル文学賞の候補になっていたことが分かっています。
日本からは、三島のほか、谷崎潤一郎、川端康成、西脇順三郎が候補だったとのこと。
日本人候補に対するノーベル賞選考委員会の評価では、川端康成は「時期尚早」、谷崎潤一郎は「文学界の重鎮として確固たる地位にあるというが、委員会は残念ながら違う考えを持っている」でした。
そして三島については「日本人候補者の中で最も大きな受賞のチャンスがある」との評価だったようです。
この年は別の国の方が受賞されていますが、選考委員会での三島の評価は日本人候補の中で最も高かったようです。
では、1968年のノーベル文学賞を川端康成が受賞したのは何故か。
下記のような記事を目にしました。
選考委員会から意見を求められたドナルド・キーンは、三島でなく谷崎を最有力者として推薦したという経緯があったことを証言しました。
日本社会や日本の文学界は年功序列の制度があるというのがその理由だそうです。
谷崎潤一郎は1965年に亡くなったので、結果として1968年に川端康成が受賞したという内容です。
皆さん故人ですから真実は分かりませんが、その後の三島、川端の死にも影響しているのでしょうか。
三島由紀夫の最期はご存知の方が多いと思いますが、その良し悪しは別として、作品は良く読みました。
憧れのあの文章を書く人が台本なしの討論会でどのようなことを話すのか。
三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実
討論会 一人対千人
1969年ですから、全共闘の学生たちは、所謂、団塊の世代ですね。私より上の世代です。
壇上には、三島と司会者、そして討論相手の学生ですが、会場は学生が一、二階を埋め尽くしています。三島一人対千人の学生です。
“三島由紀夫” 対 “全共闘”、“右” 対 “左”、“日本の伝統と文化に誇りを持つ人間” 対 “国籍はないとか国境はないとか日本の歴史や文化を否定する学生たち” との討論会です。
殺気立っている会場の様子が画面からも分かります。
日本の歴史や文化を否定する学生たちに対し、三島は「英語を喋っていると自分は日本人じゃない気がする(勘違いする人がいるが本質は日本人だ)」と諭します。
学生の「馬鹿野郎」や「ぶん殴れ」に対し、丁寧な言葉で対応し、言葉で分かり合おうとする三島由紀夫。
「私は諸君の熱情は信じます。ほかのものは一切信じないとしても、これだけは信ずるということを分かっていただきたい」「言霊を私は残して去っていく」という三島。
そして現在
「言葉が力を持っていた最後の時代」「現代のネット論争は物陰に隠れながら石礫を投げ合う “卑怯な小競り合い”」。
これらの言葉は、当時三島由紀夫との討論で丁丁発止と渡り合った、元東大全共闘の学生たちの現在の感想です。
うざい、しね ネット社会の暴力
確かに、現在は「マジ」「ヤバイ」「うざい」「しね」しか単語を知らないようなネットの中傷が溢れています。
先般話題になっていた、あおり運転の被害を受けた格闘家 朝倉未来さんのYouTubeを思い出しました。
あおり運転してきた男が、相手が格闘家だと知った途端コソコソと逃げ去ったというものです。
匿名のネット社会で「うざい」「しね」と中傷している人たちは、このあおり運転の男と同じだと思います。面と向かっては言えない人たちでしょうね。
その点、当時の学生たちは面と向かって討論しています。バックに千人の仲間がいるという状況ではありますが。
三島由紀夫と金沢
実は、三島由紀夫と金沢とは関係があります。作品には金沢が登場する小説もあります。別のブログにまとめたいと思います。