金沢シャッターガールのPart 5です
金沢が舞台の「金沢シャッターガール」。
桐木憲一さんの原作で金沢巡りをしていますが、今回はPart 5です。
金沢を舞台にした桐木憲一さんの原作には、金沢の人間でも知らないようなことも書かれています。
勿論、定番の観光スポットも紹介されていますので、コミックですが金沢の観光ガイドブックとしての利用も可能…かな。
原作と映画ではストーリーも、登場する場所も違います。それを前提にご覧ください。
Part 1からPart 4は下記リンクです。
Column 6 尾山神社 と 第12話 尾山神社
Column 6と第12話。連続して尾山神社です。
尾山神社
明治6年に加賀藩の旧藩臣により建てられた尾山神社は、加賀藩の藩祖 前田利家を祀っています。
1998年(平成10年)に正室であるお松の方も合祀されました。
2002年(平成14年)にはNHKの大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」も放映されています。
インスタ映えすると人気の神門は、当時かなりの反対があったようです。
神門については別途ブログに取り上げました。
五彩のギヤマン
神門について、原作に記載されていることをプラスします。
最上階は五彩のギヤマン(五色の色ガラス)張りです。灯台の役割もあったとのこと。
Google Earthを利用した大まかな数字ですが、神門付近は標高26m、石段を下りた参道辺りで21m。既に5mほど低くなっています。
神門から石段下の参道を見ると高低差が実感できます。
さらに海へ向かいます。武家屋敷辺りで標高15m、金沢駅付近で10m前後と、海に向って緩やかに傾斜しています。
神門の高さは約18m(その上に8mの避雷針)ですから、標高を加えると最上階の色ガラス部分と海面とは40m以上の高低差があります。
ビルにすれば10~13階建て。現在では高い建物に囲まれていますが、明治の初めなら十分に灯台の役目を果たしたのではないでしょうか。
東神門
神門から見ると反対側、感覚的には裏門の東神門。
見落とされがちですが、桐木憲一さんの原作にはしっかり記載されています。金沢についてかなり勉強されたようです。
元々は旧金沢城二の丸の唐門です。国指定の登録有形文化財(建造物)です。
神苑
旧金谷御殿の頃からあった庭園です。
ここも桐木憲一さんの原作では言及されています。
楽器の庭という愛称があるように、舞楽の楽器を模した地泉廻遊式の庭園です。琴橋(レンガ造りの橋です)、笙橋、琵琶橋など楽器に因んだ名前が付けられています。
神苑の水は辰巳用水の水を兼六園から引いていたそうで、響遠瀑から神苑の池へ流し落としていました。この写真の場所ですね。
現在では井戸水を汲み上げています。
綺麗な庭園です。好きな場所です。
金谷神社
本殿の横、珍しいレンガ造りの玉垣(金沢で初めて煉瓦を使用した建造物だそうです)の右側に位置する神社で、加賀藩の二代から十七代までの藩主と正室が祀られています。
鳥居には加賀八家と呼ばれる禄高1万石以上、大名クラスの家老の名前が刻まれています。
お松の方像
前田利家公像の近くには平成10年になって合祀されたお松の方の像があります。
この二人の夫婦愛が縁結びのご利益か…な。
金色の蛙
尾山神社の境内には金色の蛙がいます。
観光客が「これだ、これだ」と、嬉しそうに撮影している姿を見かけます。有名なんですかね?
謎の石碑
ご存知の方はいらっしゃると思いますが、私には謎の石碑です。「松平」までは読めますが、その下が削られています。
前田利家
前田利家公像 赤母衣衆
加賀百万石の藩祖の像です。境内にあります。
背中に母衣(ほろ)を負っていますから、織田信長直属の「赤母衣衆」筆頭、20歳頃の姿でしょう。
母衣(ほろ)は、矢など後方からの攻撃を防御するための補助具、一種の防具です。
槍の又左
槍の名手で、6mを超える槍を振り回して「槍の又左」と恐れられていた猛将 前田利家です。
生涯40近い戦に参戦したとのことですから、前線で戦うときに、後方からの飛び道具による攻撃を防御するためには、母衣(ほろ)は必須のアイテムだったのでしょう。NHKの大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」の唐沢寿明さんの勇姿を思い出させる像です。
兼六園近くの白鳥路にも前田利家の立像があります。金鯰尾兜という127cmの兜を被った姿です。
身長182cm 六尺豊かな大男
遺された着物からの推測では、前田利家は180cmを超える身長だったとのことですから、六尺豊かな大男が127cmの兜。
戦国時代の男性の平均身長は154㎝だそうです。相手はビビりますね。
尾山神社に金鯰尾兜の碑があります。
NHK ザ・プロファイラー
NHKのザ・プロファイラーで前田利家を取り上げていました。戦国武将には皆さん各々贔屓があり、当然好き嫌いはあるでしょうが、その話を少し。
出だしにMC岡田准一さんのイントロです。
”全国の武将が鎬を削った戦国時代。戦いに明け暮れ、野望と裏切りが渦巻くイメージですが、天下への野心よりも家族や親友との絆を大事に、戦乱を生き抜いた武将がいました(出典:NHK ザ・プロファイラー)”
若い頃は短気な傾奇者(かぶきもの)として有名な存在でした。
初陣で敵陣に一番乗りし、信長に「肝に毛が生えているようだ」と言わしめた はみ出し者の前田利家。
信長に認められ、秀吉に信頼され、家康に恐れられた傾奇者(かぶきもの)
織田信長に認められ、親友 豊臣秀吉に信頼され、野心に燃える徳川家康には恐れられます。それに加えて、お松の方の内助の功。面白い番組でした。
前田利家は豊臣秀吉の治世下では№2として諸大名の調整役でした。
裏表のない人物として厚い信頼を寄せられていたそうです。
”位も石高も利家は家康より低いけれども 五倍も人望があり 城中でも道中でも人々に敬われている(出典:NHK ザ・プロファイラー)”
豊国神社 秀吉への思い
金沢の卯辰山に豊国神社という社があります。
前田利家の遺志に基づいて歴代の藩主が、徳川幕府に知られないように密かに豊臣秀吉を祀っていたとのこと。前田利家らしい逸話ですね。
家康と利家
NHKの大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」で、香川照之さん演ずる豊臣秀吉の死後、まさに “狸” を思わせる徳川家康(高嶋政宏さん)と前田利家との駆け引きは見応えがありました。
徳川家康が、前田利家の死を待って大坂城(豊臣家)を攻めた理由が分かります。
前田家墓所 信長への思い
利家の兄 前田利久を野田山に埋葬したのが始まりと言います。
前田利長の正室 玉泉院(織田信長の四女)の墓も夫である前田利長より高い場所にあります。
これらは前田利家や、利家以降の前田家の考え方を端的に表していると思います。
文武両道 武士の家計簿
前田利家は算盤に強く、全国に先駆けて御算用場(2010年の映画「武士の家計簿」に登場します)を制定。合理的な領地経営を行います。
まさに文武両道です。
政治は一加賀、二土佐 加賀は天下の書府
「政治は一加賀、二土佐」と称えられ、「加賀は天下の書府」と新井白石に言わしめた全ての礎は前田利家にありました。
また長くなりました。今回は尾山神社だけです。
夏目夏奈ちゃん、ごめんなさい。桐木憲一さん、まだ続きます。