秘密のケンミンSHOW
「秘密のケンミンSHOW」で石川県の回転寿司を取り上げていました。
金沢の回転寿司は高い?
それに対し、「石川県の回転寿司はハイレベルだけど、値段もハイレベル」といった声が寄せられているようです。
全国チェーンもありますよ
私はごく普通の家庭なので、回転しない寿司店へ頻繁に行ける身分ではありません。そのため、地元金沢の回転寿司をよく利用しますが、そんなに高いと感じたことはありません。
もちろん、全国チェーンの回転寿司よりは高いですよ。
にも関わらず、そんなに高いと感じない理由も。
どうしても値段が気になる方もご心配なく。金沢には、全国チェーンの回転寿司もありますので。
金沢の回転寿司
回転寿司のガラパゴス化!?
10連休で金沢を訪れる方も多いと思います。
誤解が広まらないように説明しますと、「金沢の回転寿司」は、皆さんが思っている「全国チェーンの回転寿司」とは別のものだと考えてください。
ただし「金沢の回転寿司」が、ガラケーのようにガラパゴス化したとは思いません。
ライバル店、地元客との鬩ぎ合い
金沢の風土と地元客の嗜好に合った寿司を求め、地元のライバル店同士が ”味と値段、そして質の鬩ぎ合い” をした努力の結果が、「金沢の回転寿司」だと思ってください。
地元の回転寿司としては当然の流れであり、全国の地元の回転寿司も同じではないでしょうか…!?
コンベアは回転していますが…
大部分の客は直接注文しています。
コンベアに乗って回転している寿司は見本のような感覚ですね。
回転寿司のコンベアのシェアは石川県がほぼ100%です。そんな環境なのでコンベアは ”見本” を乗せて回転しています(笑)
金沢での回転寿司の位置付け
誤解されないように先に説明しますが、これから使用する「安価」、「廉価」という単語は、全国チェーンの回転寿司店と地元 金沢の回転寿司店と一般の寿司店を相対的に比較して使用したものです。
以下、この前提で読んでください。
金沢では、全国チェーンの「安価」な回転寿司店と、一般の寿司店の中間が地元の回転寿司店で、一般の寿司店より「廉価」な寿司店という位置付けです。
値段でいえば、
全国チェーンの回転寿司店(安価)< 金沢の回転寿司店(廉価)< 一般の寿司店
といったイメージでしょうか。
全国チェーンの回転寿司
後学のために全国チェーンのKやSへ行ったことがあります。
Kはサイドメニューが多いためか、ショッピングモールのフードコートのような雰囲気でした。客層は幼稚園から小学生、中学生くらいまでのお子さん連れが多いようです。
Sは中学生や高校生の食べ盛り世代の家族連れや若い世代が多い印象でした。
以下、どなたかの口コミで見たことがあり、私も個人的に同感だった点を書きます。
KもSも機械で型押しした酢飯の上に魚の切身を乗せた(チェーンによっては、符丁・隠語で切身を ”貼る”と表現するそうです )もので、「握り寿司」とは少し違うと感じましたが、それ以上にビックリしたのはワサビ抜きです。
お子さん向け、かつ、格安な値段にするために手間を極力省く。仕方がないことでしょうね。
ワサビ抜きのためか、それとも下処理が原因なのか、生臭さを感じるネタもありました。
鬩ぎ合い
あくまで個人的な意見ですが、全国チェーンの回転寿司店は、ターゲットをお子さん連れや若い世代の客層とし、安い値段でお腹を一杯にしてもらうための店、という位置付けを目指しているのだろうと思います。
金沢の回転寿司店は ”値段と味、そして質の鬩ぎ合い” の産物ですが、全国チェーンの回転寿司は ”値段の鬩ぎ合い” の結果なのでしょう。
結果が違うのは、ターゲットとした客層の違い、市場規模の違いからでしょうね。
回転寿司 御三家
折角金沢へ来たのなら、金沢の回転寿司を食べたいと思っている観光客は多いと思います。金沢の回転寿司業界では、御三家と呼ばれる、「金沢まいもん寿司」 「もりもり寿し」「すし食いねぇ!」が鎬を削っています。
金沢の回転寿司の値段
以下、あくまで私の個人的な考え方です。念のため。
金沢の回転寿司は、全国チェーンの回転寿司と比べれば値段は高めですが、値段なりのおいしさです。人によっては、値段以上の満足感があると思います。
100円の回転寿司と比べれば、味とネタの質が違います。
経験すれば、金沢の回転寿司の値段に腹が立つことはないでしょう。もちろん、回転寿司ですから有名店のような凝った細工はありませんが。
全国チェーンとの共存
全国チェーンではネタも本部一括仕入れで、仕込みも本部一括。各店で、機械で作ったシャリにネタを乗せているのだと思います。
そのため、地元 北陸の魚を使用して、客の目の前で “握って” いる金沢の回転寿司とは違いが出ているのでしょう。
これは、ターゲットとする客層の違い、客のニーズの違いから当然のことだと思います。
長い間金沢を離れていた私ですが、金沢の回転寿司は、下手な回転しない寿司店よりレベルが高いと思うことがあります。
ターゲットとする客層の違いが、全国チェーンの回転寿司と金沢の回転寿司が共存している要因だと思います。
すしざんまい 北陸1号店
北陸新幹線の開業(2015年3月)を当て込んだのか、2013年11月に「すしざんまい」の北陸1号店が近江町市場の真横に開店しました。
立地も良く、ネームバリューもある寿司店です。
金沢での成功を見込んで今後の北陸での更なる出店を計画していたようですが、2016年9月に3年弱で撤退しました。新聞によれば、集客に苦労したようです。
私も一度だけ行きました。値段は、ほぼ金沢の回転寿司と同じような水準でした。名物のマグロも頂きました。
値段が同じで、味、質を比較すれば、金沢なら地元の回転寿司に軍配が…。
金沢の寿司の水準
東の久兵衛 西の弥助
「秘密のケンミンSHOW」でも「東の久兵衛、西の弥助」と紹介していましたが、「銀座久兵衛」の先代が日本一の寿司職人と認めた「小松 弥助」を始め、金沢の寿司のレベルは高いと思います。
海外での評価 Travel & Leisure誌
金沢は、米国の大手旅行雑誌Travel & Leisure誌が選ぶ “2017年に行くべき50の旅行地(50 Best Places to Travel in 2017)” に、日本から唯一選ばれています。セーシェルやプロヴァンス、ホノルルなどの 錚々たる観光地と並んで選ばれています。
www.travelandleisure.com
この記事では、ひがし茶屋街・長町の武家屋敷・現代美術館(金沢21世紀美術館のことでしょう)などが見所として列挙されています。
“This city on the western coast of Honshu has seen a boost in visits since a bullet-train extension shortened the trip from Tokyo to just 2½ hours. Go for the old wooden teahouses of the Higashi Chayagai district, the beautiful samurai residence in Nagamachi, and the contemporary art museum. ”
(引用:Travel & Leisure誌 WEBサイト)
見所以外では、東京と同レベルなのに東京より安い寿司が紹介されていました。
千取寿司、加賀弥助、近江町市場などが、アメリカで有名な、三つ星を獲得したマサこと高山雅さんが好きな寿司として挙げられています。
“Then have your pick of sushi that’s just as good as, and much cheaper than, what you’d find in Tokyo. Try it at Sentori, Kagayasuke, or Omi-cho Market—a favorite of sushi master Masa.”
(引用:Travel & Leisure誌 WEBサイト)
ここで名前の挙がった寿司屋以外にも、NHKでも取り上げられた寿司の有名店もあり、実際、東京と同レベルの寿司を2/3程度の値段で味わうことも可能なようです。
金沢の回転寿司を育んだ風土と地元客
国内でも、そして海外でも評価の高い金沢の寿司屋です。このような金沢の環境、風土で育った地元客の嗜好に合わせた訳ですから、自然とハイレベルな回転寿司になったのでしょう。
ワンポイントアドバイス
ここで石川県以外の方にワンポイントアドバイスです。
サワラ
「サワラ(鰆)」は石川県ではカジキのことです。何故かは分かりませんが方言だと思って下さい。以前は、石川県で鰆は全く獲れなかったのでそうなったのでしょうか…?
鰆といえば西京焼きを思い出しますが、金沢でサワラといえば、薄いピンク色の刺身を思い浮かべます。
最近では、サワラ=カジキと明記してある鮮魚店や回転寿司が増えていますので、間違えて注文すると、それは自己責任です(笑)
ガスエビ
地元で「ガスエビ」と呼んでいる海老も美味しいですよ。足が早いので、他の地方では聞いたことがない人が多いと思います。
見た目は少し悪いのですが、個人的には甘エビより上だと思います。市場に出回る期間が短いので、メニューで見つけたら、個人的には “即注文” だと思います。
とらふぐ
とらふぐの握りを扱っている回転寿司もあります。とらふぐだけのメニューが独立しているくらいです。
金沢でフグの握り? 「?」マークの方が多いと思います。
意外と知られていませんが、とらふぐなどの天然フグの漁獲量は、ここ何年も石川県が全国一位です。平成29年の漁獲実績では、石川県は656tで1位、産地と言われている下関市のある山口県は214tで5位です。
そう言えば、石川県名産の珍味に、フグの糠漬けやフグの卵巣の糠漬けがありますね。これはまた別の機会にします。
ノドグロ、食べたい 錦織圭選手
テニスの錦織圭選手が、2014年全米オープンで準優勝した後の凱旋帰国時に「ノドグロ、食べたい」と発言したため、全国的に “再” 認識された魚、ノドグロことアカムツ。
ノドグロの漁獲高は、全国に13しかない「特定第3種漁港」の島根県の浜田港が全国一位とのこと。ブランド化もされていますし、「ノドグロ、食べたい」発言の錦織圭選手は島根県出身です。
いつの間にか金沢名物になっているようですが、私は「金沢名物」だとは知りませんでした。
勿論、ブリやノドグロ、マグロなどの定番メニューも美味しいですよ。
以上、値段以上にハイレベルな金沢の寿司を是非味わってください。